02/16の日記

20:58
8.1 決心
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遊び疲れたのだろうか、妹は膝に抱かれ、小さな寝息、ランプの薄灯かりに映し出される、疲れ切った父の横顔は、藁をもつかむ眼差し。
普段ですら無口な父は、更に無口になって行きました。
11歳の多感な少年は、この大きな試練に、家族が押しつぶされるのではないかと不安になり、子供心にも明るく振る舞い、無邪気な妹の遊び相手をするよう、心掛けたのでした。
そのうち小児マヒが、伝染病でない事が分かり、明るさを取り戻して行ったのです。
10年後の昭和38年、ひかるは、高校卒業と同時に、東京へ出、魔法の箱、テレビを解明しようと、決心。



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[pima] 02-16 23:24 削除
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20:57
8 決心
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この嵐のような出来事が、これから先、一家に試練を背負わせる事となったのです。
島では見た事も、聞いた事もない、初めての発病。小児マヒに関する知識がなく、周りの子供達に伝染するのではないかと見られ、精神的には、完全に隔離状態。
母は、物の怪に取り憑かれたように、祈祷師を回り、西の方角にある木が災いしている、と聞けば、必死で切り押し、父は、直さなければ、手術をしなければ、金を作らなければ、と毎晩、財布を広げ、わずかばかりの、増えもしない金を数えるばかり。
米国の統治下、勿論、保険制度もなく、手術や渡航滞在費など、細々と暮らす一家にとって、とてつもない費用。

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20:56
7 小児麻痺
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ひかる11歳、妹が3歳の、昭和29年夏。
父は、漁へ出かけ、母は野良仕事、やっと走りまわれるようになった、妹の遊び相手をしていると、元気がなくなり、そのうちグッタリ倒れてしまいました。
急いで、母を呼び戻した頃には、泣き声一つ出す力さえなく、痙攣の合間に、断続的にひきつけを起こす程の異常な高熱。
40度以上の高熱が続いているのだろうか。
火照った体は、風呂上がり状で、体内はそれ以上の高温でしょう。
解熱剤なるもの、薬と呼べるものは何一つなく、助けを求めるにも近所には、誰一人いません。
母は、知恵熱やカゼ、普通の発熱でない事を咄嗟に感じ取っていたのでしょう。
取り乱し、「助けて欲しい!」 と叫ぶ、その只事でない形相に、命に危険が迫っている事が感じられます。
次々と他界した子供達の事が、脳裏をよぎっているのだろうか。
脈をとったまま、水!、水をくれ、との催促に、冷たい井戸水を汲み続けました。
母は、無我夢中で冷やし続け、その甲斐あったのか、数時間続いた引き付けは、徐々に治まって行きましたが、あまりにも高熱が続いたせいなのか、後遺症が残り、片方の足が完全に、マイしてしまいました。
小児マヒ、にかかったのです。

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16:46
6 挑戦!TV界
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マンガ本の片隅に、5コマ漫画で、コタツに入りながら映画が観られる。
「これがテレビだ」と書いてありました。
目を疑い、もう一度読み直しましたが、何度読んでも、同じ答え。
家に居ながら映画が観られる?
本当にそのような事が出来るのだろうか?
映画館の無い島、焼玉式エンジンのポンポン船で行き来する、別の島で上映される映画が、この家で観られるはずがない・・
情報の全くなかった島、電波など考えられなかった島で育った少年には、そんな望遠鏡が有るはずがない!
魔法使いにでも、出来ないはずだ、と思えるのでした。
しかし、何度読み返しても、5コマ漫画は同じ答えしか出してくれません。
以後、テレビの3文字は、少年の脳裏に焼き付けられたのです。
どうしても、映画が観たい・・
この映画が、家に居ながら観られる・・
だったら、テレビを勉強してみたい・・
何時の間にか、ひかるは、5コマ漫画の世界へ夢を膨らませ、魔法の箱解明に人生を賭けてみたい、と行動を起こすのでした。

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16:45
5 挑戦!TV界
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そんな中でも、子供達にとって、1番の楽しみは、夏休みや冬休みに、15キロ離れた石垣島へ渡り、映画を見る事でした。
しかし少年の家は、特に貧しく、石垣島へ渡る船賃や映画代など、とても考えられず、その日暮しの状況。
子供同士で、映画のシーンや仕草の真似をしながら遊ぶ時が、一番悔しく、どうしても仲間に入っていけません。
一度で良いから、映画が観たい・・・
お願いだから、映画を観せて欲しい・・・
きっと来年は映画を観せてもらえる、と懸命に畑仕事を手伝い、待ちに待った夏休み。
しかし夏休みは、日1日と過ぎ、夢は空しく消えて行きます。
必ず、正月には観せる、と父が約束。
なお一層小さな体で、両親を手伝いましたが、それでも夢は叶えられませんでした。
約束を守って欲しい・・・と無理に言い出せません。
親が一番辛いのは、子供心にも分かっています。
中学2年生の時でした・・・

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05:45
4 挑戦!TV界
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昭和18年8月、八重山地区の黒島に、ひかる誕生。
出産設備や病院のない島で、生まれた子供が次々と3人も他界した後、3歳違いの長女に続く男子、ひかる誕生で、両親の喜びはひとしお、八年後、母43歳で妹が誕生します。
妹は高齢出産の子、特別可愛がられ、幸せな五人家族でした。
小さな島には電気はなく、勿論、水道もありません。
情報と呼べるものは、特にありません。
飲み水は雨水を瓶に溜め、大事に飲みます。
ボウフラが湧き、瓶の首をコント叩き、潜った瞬間、すくって飲む、ボウフラとの協同生活。
ランプのホヤを拭くのは、大人の手が入らないので、子供の仕事と言われ、何の抵抗もなく、毎日拭かされ、何度かホヤを割り、叱られて育ちました。
サンゴ礁で出来た島では、岩だらけの合間に点在する、猫の額程の畑を耕し、家庭菜園に毛が生えたような自給自足の生活。
小学校高学年の頃には、島の貧しい生活に見切りを付け、石垣島や沖縄本島へと引っ越す家が多くなり複式学級制へと移行していきます。

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05:44
3 TV少年、南の島から東京へ
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現在、テレビは全国の家庭に入り込み、生活の一部となっている事は言うまでもありません。
信じがたい事ですが、この地区は、5万人もの人口を有するにも関わらず、平成5年末迄、NHK以外の民放テレビの電波が、届きませんでした。
現在でも民放は、二つのチャンネルしか映りません。
沖縄本島との間に中継局が作れず、テレビの最後の未開地である。
45年前、この地区の周囲12キロ、人口二百数十人という小さな島から、ひかる少年がテレビにロマンを求め、風呂敷包とパスポートを携え、旅立ちました。
さて、どんな人生になるのでしょうか・・・

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