紅眼の発狂者
□序章 Don't be afraid
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『あのね、ラーナ』
『……ブレッド……早く起きて』
『ラーナ………ブレッドはね』
『ブレッド………早く起きなきゃ』
『ブレッドは……、死んでるんだよ?』
少女は驚くこともなく、ただ青年を起こす動作を止めただけだった。
『死、んだ』
『ラーナ、帰ろう』
眼帯の青年に手を引かれ少女はやっと立ち上がり歩いた。
何度も何度も振り返り、届くことのない手を伸ばし呟いた。
『…………死ん、だブレッドは死んだブレッドは死んだブレッドは死んだ』
その少女の瞳は燃えたぎるような真紅色に染まっていた。