紅眼の発狂者
□"I don't know it"
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エメリックは面倒くさそうにボリボリと頭をかく。
タバコを注意されたばかりなのだが、ニコチンがついに切れたようで吸い始める。
無論、ロイルはエメリックを睨みつけた。
「そのラーナっていう娘の店行けばいい話だろうが」
「…部長、タバコ」
「おら、行くぞ」
スーツの襟首をひっつかみずるずると道を歩いていくエメリック。
ロイルは抵抗しても無駄かと悟っているのか、苦笑しながらも引きずられるまま。
場所はなんとなく把握しているのだろう。
しかしながら良い大人が引きずられている様はなんとも滑稽。
急いで立ち上がりエメリックの隣へと並ぶ。
「……」
「……」
会話はなかったが考えることはなんとなくだが一緒な気がした。
もしも、彼女が犯人ではなかったら
街の人物から聞いたとしても彼女は平凡な女性なはず。
ロイルが手帳を開き証言を見つめていた時だった。
「うわっ!?」
突如何かにぶち当たりロイルは当たった鼻を抑えた。