紅眼の発狂者
□Do you Kill me?
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ヒュン、と刀の柄の部分を片手にしてラーナは薄く笑った。
「エメリック部長!!」
すぐさま体を確認するが気絶のようだった。
いや、何のために気絶させた?
ばっと顔をあげてみればそこには刀の刃先。
「──っ!」
「私には………しなきゃならないことがある」
刃先からはポタポタと血が滴っている。
ロイルはそれを見て胸内から湧き上がるふつふつとした怒りに歯を食いしばった。
そして自らの拳銃を取り出し怯むことなくラーナへと向けた。
「早く、刀をしまうんだ!」
「……」
「じゃなきゃ…撃つぞ」
ラーナはロイルが握る拳銃を見つめて笑った。
それはロイルの手が震えているからか、それとも瞳に涙をためているからなのか。
しかし撃つという脅しも効かず、刃先は向けられたまま。
「…やって、みなさい」
「!?」
「……私にはきかない。あなたは見たんじゃない?」
「銃弾が真っ二つになったものを」
その瞬間ロイルはハッとした。
あのアクセサリー店で落ちていた真っ二つに割れた銃弾。
あれは、刀で切られたもの。
「……あなたが撃っても、当たらないわ」
クスクス、と薄く笑うラーナ。
闇夜に浮かぶ真紅の色が生々しく鮮明に見える。
パンッ─!