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□Hello,hello…a murderer
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ガヤガヤと人が賑わいを見せるこのヴィレッジアの街。
人々は忙しそうにしながら人と人の合間をすり抜けていく。ある人間は買い物を、またある人間はオシャレなお店で食事を。
ヴィレッジア・イーストで店を経営する者は忙しないくらいに働いていた。
そんな人の移り変わりが激しいイースト通りでは、テラスで楽しめるカフェがあった。
1人、その光景を観察するかのようにしてテラスに座る女性。
鋭く、射抜くようなその瞳の色は真紅。何にも興味を示さないというような表情で人々を見つめる。
ふと空を見上げ、小さく口を開けた。
「………」
空が曇り始めた。先ほどまでは晴天だったはず。
それに予報でも1日晴れると言っていたのだが。
ラーナは黙ったまま紅茶を口にする。
「やぁ、お嬢さん」
紅茶から目を離し、真正面を見ればそこには男性が相席とでもいうように座っているではないか。