闇夜の混合
□ガラス玉の未来 『前とは違うのだから・・・。』
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俺は、あれから、この海賊団に貢献できるようにと、様々な手伝いをすることとなり、
気が付けば、“補助士”なんて、役割になっていた。
何かにずばぬけている彼らに対して、何か飛び抜けて出来るわけでもない俺は、
そのぶん、なんにでも手をだしたからだ。
ある時は、料理をし、
ある時は、武術をし、
ある時は、戦闘で剣を振るい、
ある時は砲撃し、
ある時は地図を見、
ある時は誰かを手当し、
ある時は知識を得るために本を読み。
と、みんながやることをすべてやってみたのだ。
そんな俺に、みんなは「すごい!」と言ってくれたけれど、
俺から言わせると、みんなの方がすごいと常々思っていた。
だってみんな夢があったから。
そして、それに向かって、一心に努力して、
そのスペシャリストとも言うべき腕を持っていたから・・・。
なにより、本当なら、何もかもに素人とも言うべき俺に、
みんな親切にたくさんの事を教えてくれたから。
こんなこともできないのか!と、かつての仲間のように、罵倒することなく・・・。
そんなこんなで、気が付けば、みんなの手助けとはお世辞にも言えない、
なのに、「お前にはその役がぴったりだ!」と、
この海賊団の船長であるルフィが言ったものだから、
俺はありがたくも、“補助士”なんて役柄を与えられていた。
今日も今日とて、もうすぐ昼下がりだからと大食らいの海賊団の飯づくりで大変なサンジの補助(手伝い)をしていた。
其処に、においにつられたのか、後もう少しと言うところで、ルフィがやってきた。
「おぉ!今日は肉だぁ!!」
と、自分の大好物である肉に今すぐにでも飛びつきそうになっている。
「おい、ルフィ。まだだからな。」
と、尽かさずサンジが止めていた。
「えぇ〜。ケチィ!」
「そんな声で、言ったって駄目だ!」
こんな会話を今日も・・・と言うぐらいしている彼らに、俺はとりあえず、作業をしながら聞く。
こんなことも、前の彼らとは違うところ。
すでに大人だったと言ってもいいぐらい出来た人たちだったから・・・。
むしろこんなこと言っていたら白い目というか、
『所詮おぼっちゃま』なんて小さくもたくましかった彼女に言われてしまいそうだ。
なんて、頭の中で考えながら、俺は黙々と手を動かしていた。
そして、用意が完了した。
「サンジ!仕上げよろしく!」
俺ができるのは、簡単な下ごしらえだけ、やっぱり最後は、この船のコックであるサンジの役目。
と、いうか、俺にはできない・・・(^^;)
「おぅ!いつも悪いな。」
と、サンジは俺にお礼を言ってくれる。
嬉しいって思ったのも確かだけど、なんか大したこともしてないのにいたたまれなくて・・・。
「いや、こんな事しかできないし。
こんな俺の手でいいなら、いつでもつかってよ。
大したこと出来ないけど、邪魔にはならないようにするからさ。」
って、言った。そしたら・・・
「そんな言い方すんな!」
と、むっとした顔で、ルフィが言った。
何のことだかわからなくて、俺は彼を怒らしてしまったのだろうかとおそるおそる訪ねてみた。
「そんな言い方って? 俺、なんか変なこと言ったか?」
その言葉に、今度はサンジも変な顔してた。
何だろう、この空気・・・。