私の妄想
□小姓の勤め 2
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若の様子がおかしい。
佐助は目の前にいる幸村を見てそう思った。
一体どうなさったのじゃ…?
佐助は困惑する。
幸村の目はひたと据えられていて、逃げることはできない。
「若?」
そう問とゆっくりと手が伸びてきた。
そしてその手は佐助の頬へ添えられた。
ビクッと佐助は動揺を抑えることはできなかった。
「っ若…?」
瞳が大きく揺らぐ。
すると幸村が上体を起こした。同じ目の高さまでくると、再び幸村は動きを止める。
何じゃ?…若は何をお考えになっておられる?
ゴクリと固唾をのむ。
佐助の困惑は、小さな怯えへとかわった。
「…佐助」
ビクッ
幸村の呼びかけに思わず震えてしまう。
「…なんで、ございますか?」
絞り出した声は緊張のあまりかすれていた。
すると幸村は、スッと目を細める。
「佐助…」
愛しい者を呼ぶように、つぶやいた。
景勝様とわしを重ねて見てらっしゃるのか…?
佐助は思ったが、幸村のもう一方の手を肩に添えられ思わず思考が止まった。
いつのまにか佐助は後ろ手をつき、幸村を見上げる格好になっていた。
そして、
怯えが増していた……