【 世界の中心で、愛とパスタとSOSを叫ぶ 】

□【世界旅行1周目:Prologue】
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独「っ―…おい、大丈夫―」



「か」と、最後の一言が言い終わらない内に、俺は息を飲んだ。


“彼女”の琥珀色の瞳が、瞬きするたびに揺れる。

下敷きになった状態から両腕の中を覗いてみれば―…そう、落ちてきたソレは女性だったのだ。


彼女はその大きな瞳を丸くし、放心にも似た表情で、オレを見下ろす。



?「………―んせい―ーマ?」

独「………え?」



彼女は何かを呟いたようだった。

しかし、小さくて上手く聞き取れず、俺は少しだけ眉を顰(ひそ)める。


そのまま彼女は瞬きをすることもなく、一心に俺を見つめ続けるのだが―。



美しい瞳だ、と思った…。



独「<Σハッ///!>ば、馬鹿者!!」

?「っ―!」



ビクッと彼女の肩が上がった。

俺は彼女の肩を押し上げ、己の上体を起こす。



独「木に登って落ちるなど…注意力が足りん証拠だ!」

?「っ…ご、めんなさ―」

独「何かあったらどうするんだ!!
  下手したら大怪我だったかもしれないんだぞ!?」」



一体何を考えて―…!


<ピーピー、ピーピー!>



独「ん…?」

?「あ―――雛(ひな)、雛は!?」

独「『雛』…?」



彼女は表情を変え、木の上に顔を向ける。

俺も釣られて上を見れば、鳥の巣が1つ、雛鳥を2羽乗せていた。


雛鳥の鳴き声を聞いてか、親鳥が戻って来る。

彼等はお互いの存在を確認するように、嘴(くちばし)を軽く突(つつ)き合わせていた。


親鳥のソレはまるで、我が子の無事を喜ぶようで―。



独「………お前、雛を巣に戻してやってたのか…?」

?「…うん。
  ココを通ったらね、落ちてたのを偶然見つけたの」

独「…それで、わざわざ木に登ってまで?」



彼女は振り向き、ふわりと笑った。

突然の事だったからか、ドクリと心臓が高鳴る。


しかし、すぐに治まるかと思いきや、何度も何度も内側から胸を叩いてきた。



―――…何だ、“コレ”は―…?



?「ヴェ〜、でも良かったぁ。
  またああやって家族と一緒になれ、て―」



<ポロリ―…>


不意に、彼女の目から大粒の涙が1つ流れ、ギョッとする。

仕舞いにはポロポロといくつもの涙が流れてきてしまい、泣き出してしまった。



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