【 世界の中心で、愛とパスタとSOSを叫ぶ 】
□【世界旅行2周目:ローマの休日】
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さて、“あの衝撃的な出会い”から数日―…。
牢屋の中では、その雰囲気に似つかわしくない奇妙な光景が広がっていた。
伊「フンフンフンふ〜ん♪」
独「………」
敵国[イタリア]のフェリシア。
彼女を捕まえてみたのは良いが、歌ったり笑ったり、たまに変な声が聞こえたりするだけで、全く逃げ出す気配がない。
今だって、様子を見に来たルートヴィッヒの目の前で、鼻歌を歌いながらのんびりと本を読んでいる。
体を横にして、随分とリラックスしているらしいのだが…。
独「お前、逃げ出す気はないのか?
普通は死に物狂いで逃げ出そうとするものだぞ」
敵ではあるが、あまりにも非常識な彼女の態度に、疑問を隠せないルートヴィッヒ。
彼は呆れ顔でそう問うた。
すると、フェリシアは緊張感のない顔でへらりと笑い、枕を両手にむくりと上半身を起こした。
伊「えー、何で?
だってココ、ご飯出るし戦わなくっていいし、私ココ好きだなぁ〜」
独「Σうおぁぁあ///!
わわわ分かったから、もうそれ以上起き上がるな///!」
ルートヴィッヒは、素早く彼女から視線を外した。
フェリシアは、何がどうしたのか全く理解出来ず、軽く首を傾げている。
独「(あぁもう、下着が見えてしまうだろうが///!)」
何なんだお前は、何なんだお前は!(←大事な事なので、2回言いました。)
一応捕虜だというのに!
そんな短いスカートなど穿(は)いて、誘ってるようにしか思えん///!
俺は男なんだぞ!?
もう少し警戒心というものをだな―!
伊「………ルート?」
「どうしたの?」。
彼女のその言葉に、ハッと、我に返るルートヴィッヒ。
い、いかん!
俺としたことが!
いつの間にかペースを乱されてるし…。
彼は頭を激しく横に振り、またいつものような冷静な思考を取り戻す。
独「だ―…駄目だ!
女といえど、兵ならば例え槍や火やフランス人が飛び交う中でも、逃げ出そうと懸命の努力をする!
ソレが兵というものだ!
…て、おい!
聞いてるのか!
寝るな!
お前を見張る身にもなれ!
暇過ぎるんだ!」
せっかくの力説も、フェリシアの前では無意味なのか。
彼女はまた横になって、のんびりし始める。
コレにはさすがのルートヴィッヒも、不謹慎だが「暇過ぎる」と愚痴るしかなかった…。
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