【 世界の中心で、愛とパスタとSOSを叫ぶ 】
□【世界旅行6周目:友達ってさ】
3ページ/4ページ
独「全く、いきなり“ドイツ[オレ]の味方になる”なんて…一体、何が目当てだ!」
取り敢えず、ある程度落ち着いて来たので、ルートヴィッヒはフェリシアにそう問うた。
(エリザベータとの電話は、どうやら終了した模様。)
別に、彼女が何か企(たくら)んでいるのではないだろうかと、本気で疑ってるわけじゃなかったのだが。
(フェリシアの言動が、理解し難いのは別として…。)
つい最近会ったばかりのこともあって、彼は、どうしてもそう問わずにはいられなかったのだ。
しかし、当の本人は、相変わらずのほほんとしていて、「あのね!」と、妙に嬉しそうにソレに答えた。
伊「私、アナタと友達になりにきたんだ!
同盟組もうよ!
私、ずっと支配ばかり受けてきたから、友達にずっと憧れてて。
ルートとなら、なれそうな気がするんだ」
独「―!」
『友達』―…。
その言葉に反応して、ルートヴィッヒは彼女を見やる。
フェリシアは、ニコリと柔らかな笑みを浮かべていた。
そして、彼にこう言ったのだ。
伊「私がピンチの時は、ルートが私を助けて!
でもって、ルートがピンチの時には、私が助けに行くよ!」
ドキリと、心臓が高鳴るのを感じたルートヴィッヒ…。
そうか、もし彼女と友達になれば―。
フェリシアのことを、もっと知ることが出来るかもしれない。
フェリシアと、これからも会ったり、話したりすることが出来るかもしれない。
そんな邪(よこしま)な、それでいて真っ白な期待が、彼の頭の中に浮かんだ。
そして、何よりも純粋に、ただ彼女と友達になりたいと思った…。
独「友…達…か。
オレも、そういう奴はいないから、良く分らないが………///」
少し照れ臭いらしいルートヴィッヒの顔には、戸惑いの表情が浮かんでいた。
いい歳して(?)“友達”をつくるというのは、何となくむず痒いものがあるのである。
しかし、やはり彼女からのお誘いが嬉しかったのだろう…。
彼は、照れながらも微笑みを浮かべるようになり、フェリシアと改めて向き直った。
独「そうか…友達か! 良いな!」
伊「うん、友達だよ!」
フェリシアが、右手をスッと差し出してくる。
ソレを見て、ルートヴィッヒも右手を差し出し、お互いに握手を交わした。
伊「ヴェ〜、これから宜しくね、ルート」
独「…あぁ、宜しく、フェリシア」
伊「ヴェ、せっかく友達になったんだから、『フェリシア』じゃなくて、『フェリ』って愛称で呼んでほしいであります!」
独「はっ///!?
そんないきなり―!」
伊「えぇ〜、だって、私だけ『ルート』って愛称で呼んでるの、何か不公平だよー!」
ソレは、お前が勝手にそう呼んでるだけだ!
しかも初めから!
そう思ったルートヴィッヒだったが、彼女が言うことも、まぁ、一理はあるわけで…。
いや、寧(むし)ろ彼だって、フェリシアともっと親しくなりたいのだ。
その為にも、お互いを愛称で呼び合い、少しでも距離を縮めたほうが良いに決まっている。
しかし、頭ではそう理解していても、フェリシアと違って、彼は“そういう事”に慣れていないのだ。
だから、“愛称で呼ぶ”という最初の掴みにも、随分と勇気が必要となるわけなのだが…。
ドキドキし続ける心臓を、懸命に抑え、ルートヴィッヒは、意を決して口を開いた。
独「っ―分かった…。
あー…フェリ///!
こ、コレで良いか///!?」
伊「!―うん、ありがとう
えへへ〜、コレで対等だね、ルート!」
愛称でそう呼んでしまえば、フェリシアは、花のような笑顔を見せてくれた。
対して、ルートヴィッヒは、慣れないことをしたせいか、恥ずかしさでいっぱいだった。
しかし、今では「愛称で呼んでみて良かった」と思っている。
何より、コレでやっと、対等な友達になれたのだ…。
彼女となら…フェリシアとなら、きっと上手くやっていけるような気がする。
ルートヴィッヒは、彼女とそう同じことを思い、無意識に表情が明るく、優しくなったのだった…。
***
こうして、同盟を組んだ二国だったが…。
結局―。
伊「ルートぉ〜、ルートぉ〜。
水ありがと〜
これでまたパスタが作れるよ〜」
独「いや、もう作るな!
砂漠でパスタ作って、死なれたら敵わん」
ルートヴィッヒの胃痛が、増すばかりだった。
◆初めての友達
ボク等の関係、まずは“友達”から始めましょう。
伊「ヴェ〜…それにしても、砂漠って暑いねぇ〜」
独「Σうぉああぁ///!
ま、前を開けるんじゃない!
せめて服装はしっかりせんか///!」
伊「えぇ〜…だって暑いよぉ〜」
(NextPage:後書き)
.