【 世界の中心で、愛とパスタとSOSを叫ぶ 】
□【世界旅行7周目:戦車より大切なもの】
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パタパタと腕を振り、呑気な様子で、そう報告してきたフェリシア。
ルートヴィッヒは、そんな彼女に「ふむ」と相槌を打つ。
独「ふむ、もう10日も経ってるが、まぁ良いとしよう」
そうして、「では、見せてみろ」と言うルートヴィッヒに、「うん、ジャーン!」と、効果音付きで荷物を見せるフェリシア。
しかし、ソコにあったのは―。
伊「まずパスタに、パスタの具に、ワインに、パスタに果物…それからパスタ―!」
独「Σちょっと待て、何だその準備は!」
彼女の荷物の中は、殆(ほとん)どが、戦いとは無関係なもので占められていた。
銃や戦車に、爆弾などよりも、食材やパスタに力を入れたらしい。
確かに、食事は大切だとは思うが、コレは如何(いかが)なものだろう…。
ルートヴィッヒは、頭が痛くなってきたような気がした。
あぁ、もしかして、彼女にとっては、コレが普通なのだろうか…。
いや、しかしだとしても、まさかとは思うが、コレで準備していたもの全部、というわけではないよな…!?
伊「あっ、そうだ、戦う時に使うヤツね」
その時、フェリシアは何かを思い出したようで、急いでまた別の荷物を取りに行った。
ルートヴィッヒは、その様子を見て、心の中で「良かった!」と安堵する。
食材やパスタに驚きはしたものの、彼女はちゃんと、戦いに必要なものを準備してきたらしい。
伊「そうそう、私、ルートの分も持ってきたんだ!」
独「Σ………オレの分も?」
伊「うん!
昨日寝ないでずっと作ってたんだ」
独「手作りか………///」
フェリシアの「手作り」という言葉に、何故(なぜ)か胸がドキリとしたルートヴィッヒ。
自分の分を用意してくれただけでも嬉しいのに(安易に口には出さないが)、その言葉が加わっただけで、さらに嬉しさが増したような気がした。
独「(ふ、ふむ、“手作り”というのは、中々に良い響きだな…///
しかし、わざわざ自分で道具を作ってくるとは…。
案外、彼女の戦いに対する意識は、高いのかもしれん)」
ルートヴィッヒは、フェリシアに対する評価を、改めて見つめ直そうかと思った。
…、が―。
***
<パタパタパタ…>
風向きのままに、靡(なび)くソレ。
白い布いっぱいに風を受け止めては、流れるように空(くう)を舞う…。
「参りました byイタリア」
「参りました byドイツ」
そう簡単に書かれた、“フェリシアお手製の白旗”が、1つずつ。
ルートヴィッヒと彼女の、すぐ近くに設置されては、パタパタと音を立てていた。
伊「コレ、女の子にも使えるんだぁ!」
何処(どこ)となく自信満々に、フェリシアは、そうルートヴィッヒに話した。
(だから何だという話である。)
ルートヴィッヒは何かを言おうとしたが、膝を抱えて座り込み、何かもう………黙るしかなかったのであった。
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