【 世界の中心で、愛とパスタとSOSを叫ぶ 】

□【世界旅行8周目:…友達、だよね】
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伊「ルートー、ルートー。
  友達になった記念に、料理作るから、台所使って良い?」



食材の入った、大きな紙袋を持ちながら、フェリシアは彼にそう言った。

彼女のその申し出に、ルートヴィッヒは少し驚いたようである。



独「は?…作ってくれる、のか…///?」

伊「うん、ルートが良ければ!
  飛びっ切り、美味しい料理を作るよ

独「そ、そうか…///」



ふむ、フェリシアの手料理か…。

食べてみたい、気もするな…。


何より、彼女が自分の為に作ってくれるのだと思うと、少し浮かれてしまいそうになるルートヴィッヒ。

勿論、彼女の手料理だって、是非(ぜひ)とも頂(いただ)きたいと思った。


しかし、彼の性格上、素直にそう口にも表情にも出せそうになくて…。

生真面目な性格に加えて、「自分は“騎士の国”だ、自分は兵士だ」という考えが、彼をそうさせてしまってるのかもしれない。

(もしココにいたのが、あの万年発情期のフランシスだったら…賛美の1つや2つ、女性の喜びそうな言葉を、ポンポン口に出していたことだろう。)


だから、ルートヴィッヒは、内心嬉しいのを隠すようにして、素っ気無く彼女にこう答えた。



独「…構わんが、出来れば綺麗に使え。
  粉類には気を付けろ、あと油にも…」

伊「ヴェ、ありがとー!
  頑張って作るから、座って待っててね」



彼のそんな態度にも、フェリシアは、柔らかな笑顔で応える。

正直、彼女のそういう明るい振る舞いが、ルートヴィッヒにとって救いだった。

お世辞にも愛想が良いとは言えない、自分の言動を、然程(さほど)気にしてないようだから有り難い…。


テーブルの椅子(いす)に座って、調理し始めた彼女を見守るルートヴィッヒ。

さて、フェリシアは一体、彼に何を御馳走してくれるのか…。



独「(ふむ、紙袋からパスタが見えたから、やはりイタリア料理だろうか…?)」



だとしたら、彼女の得意料理に違いない。

いや、寧(むし)ろ何であろうとも、彼女が作ったものならば、それはもう美味しいのだろうけど…。


そう考えているうちに、フェリシアは、熱したフライパンに油をゆっくりと引いていった。



独「(むっ、少し零れたな…)」



<キュッキュッキュッ>


椅子から立ち上がったルートヴィッヒは、布巾で、零れた油を素早く拭き取る。


そして、今度は手際良く小麦粉をふるい始めたフェリシア。

この時に、パラパラと辺りに落ちていく粉を見ては、思わずソチラに移動して、ルートヴィッヒは掃除をし始めた…。


<キュッキュッキュッ>


このようにして、料理をしている彼女の横で、黙々と後片付けや掃除をし出すルートヴィッヒ。

流石(さすが)のフェリシアも、困ったように笑って、眉を「ハ」の字にしてしまった。



伊「ヴェ〜、ルートぉ…」

独「ん?、ああ…気にするな」



「気にしちゃうよー…」。


彼の行動に対して、そう言いかけたフェリシアだったが、うん―…。

「出来るだけ、散らかさないようにしよう」と、そう密かに思ったのであった…。





***



伊「ルートぉー!
  お待ち遠様(おまちどおさま)、料理出来たよ〜



フェリシアが料理を始めてから数十分後、キッチンから良い匂いが漂(ただよ)ってきた。

テーブルに次々と運び込まれる料理のその出来栄えに、ルートヴィッヒは瞳を輝かせる。



独「凄いな、どれも美味そうだ…」

伊「ホント?、えへへ…食べるのも良いけど、料理するのも好きなんだよね〜」



「さっ、食べて食べて!」。


彼女にそう勧められ、フォークとスプーンを手に取るルートヴィッヒ。

目の前のパスタをくるくる巻いて、パクリと一口頬張ってみる…。



伊「ヴェ、どうかなー…?」



フェリシアが不安そうに、彼の表情を窺(うかが)った。


料理は確かに好きだし、得意だと思ってるけど、もしルートの口に合わなかったらどうしよう…。


そんな不安が、彼女の頭の中でちらついた、が―。



独「………、美味い…!」

伊「えっ、本当っ!?」

独「ああ、今まで食べたなかで、1番美味いと思うぞ」



先程まで、気の利いた言葉の1つも挙げられなかったルートヴィッヒが、無意識にそう発した。

どうやら、彼女の手料理が、相当お気に召したらしい。


フェリシアは、花のような笑顔を浮かべて、嬉しそうに「ありがとう!」と言う。

そして、自分も好物のパスタに手をつけ始めた。



伊「ふふ、頑張って作った甲斐(かい)があったであります!
  ヴェ〜…、でもさ、こうやって一緒にご飯を食べてると―」



ルートヴィッヒが、丁度スープを飲んでいる時だった。



伊「何だか私達、夫婦みたいだね」

独「Σぶーっ///!



「ゴホッ、ゴホッ、ケホッ!」と、急に大きく咳き込み出したルートヴィッヒに、目を丸くして驚くフェリシア。

「ヴェ!?、大丈夫ルート?」と言って、彼女はハンカチを渡してくれた。



独「ゴホッ…だ、大丈夫だ、問題ない…///」

伊「ヴェ〜…スープ、美味しくなかった?」

独「い、いや、美味かったぞ!
  ただ、今のは…お、お前が変なことを言うから―///!」

伊「ヴェ、何々?」

独「っ〜〜〜///!」



まさか、彼女の「夫婦みたいだね」発言に、過剰反応してしまっただなんて…。

そんな事、恥かしくて言えるはずもないルートヴィッヒなのであった。



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