過去のWeb拍手ストーリー

□baby baby baby〜5オマケ
1ページ/1ページ




「ん〜、穏やかな陽気だな」



ユラユラと静かに揺れる船上で、リュウガは酒瓶を片手に伸びをした。

船員達が赤ん坊の親探しに出掛けているため、船に残っているのは見張番明けのトワとリュウガだけだ。


昨日の賑やかさが嘘みたいだ…と、全員が赤ん坊に振り回された昨夜を思い出し、リュウガはふっと笑う。


特にシンがよく面倒を見ているのは意外だった。
真夜中にシンが唄っていた子守歌は、リュウガの部屋にも微かに届いてきていた。



(しかし、そうか。俺ももうガキがいてもいい年なんだよな…)



リュウガはふと考え、妄想をし出した。




俺の子だとすると、息子か?娘か?


…なんか「娘」って響きイイな。


よし、娘にしよう。

そして「パパ」と呼ばせよう。


しかし娘が年頃になったら、門限を設けなくてはならんな。
変な男に見初められでもしたら大変だ。


………


変な男…?



………ロイ?




もしも自分の娘が突然ロイを連れてきたら、俺はどうしたらいいんだ?



『パパ、紹介するね。今お付き合いしてるロイさん。
え?ロイさんを知ってるの?
それなら良かった。私ね、ロイさんと結婚するから』



「ふざけるな!!」



リュウガは突然ガタン!と立ち上がる。



たまたま近くを通り過ぎようとしていたトワが、ビビって飛び上がった。




ロイが相手だなんて俺が許さんぞ!


ロイにやるくらいなら、シリウスの誰かに…!



『パパ…結婚を認めてくれないの?
もういい!私、ロイさんと駆け落ちする!
パパなんて大っっ嫌いよー!!』



「なにぃーっ!!」



頭を抱えて盛大にショックを受けるリュウガ。

トワは怯えて震えながら物陰からじっとその様子を見ていた。




ロイと俺の娘が結婚するのは嫌だが、反対して娘に駆け落ちされたら終わりだ!


そんなことになったら、俺は一体どうすれば…!


娘が望んだ相手と結婚をするのは、当然親としては喜ばしいことだ。

だが、ロイってのがどうしても許せん!
それだけは避けたい!
何か…何か方法はないのか!?




その時、ソウシが船に駆け込んできた。



「只今戻りました!船長!先程西の村で気になることを耳に…」



「ソウシィィィ!」



ものすごい剣幕で、リュウガがガシッとソウシの両肩を掴む。



「ソウシ!大変だ!俺の娘がロイと結婚するとか言い出したぞ!
俺は一体どうしたらいいんだ!?」


「…は?」


「あんな変態に、俺の大事な娘はやれん!
だが下手に反対したら、娘はロイと駆け落ちする可能性が…っ!
はっ!そうだ、ソウシ!お前になら娘を任せられる!
お前がロイから俺の娘を奪え!な?」


「こんな時に…何をバカな妄想してるんだリュウガ―!!」



ソウシの怒号と関節技を喰らったリュウガは、ようやく大人しくなり、正座してソウシの話を聞いていたそうな。



めでたしめでたし。




おわり
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ