過去のWeb拍手ストーリー
□baby baby baby〜6 オマケ@
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スッ!とナギが屈み込む。
げっ!避けられた!?;
ハヤテが驚愕したその時…
ドサッ…
ナギがその場に倒れ込んだ。
「え…?」
恐る恐る下を見ると…
ナギは床に横たわって寝息を立てていた。
「ね…寝た…」
ハヤテはヘナヘナとその場にしゃがみ込んだ。
どうやら散々暴れまくったナギは、疲れて再び眠りに就いたらしい。
(し…死ぬかと思った…;)
床に落ちている鎖鎌を慌てて拾い上げながら、ハヤテはナギの穏やかな寝顔をチラッと見た。
なんか寝てる時のナギ兄って、幼い顔してるよなぁ…
いつも無表情だし、怒るとスッゲー怖ぇけど
船長にすら容赦しねぇもんな…
秘蔵の赤ワインを仕込みに全部使われたと落ち込んでいたリュウガの姿を思い出し、ハヤテは少し笑った。
でも、誰よりも仲間想いだし、情に厚いんだよなぁ
今日だって、危ねーところ助けに来てくれたし
あの黒いマントの奴ら、ナギ兄の名前聞いてちょっとビビってたな
これだけ強くて名が知れてんのに、それを自慢したりしない
ホントすげぇよな、ナギ兄って
俺もこんな男になりてぇな
でも…
「寝ぼけんのだけは、マジ勘弁…」
深々と溜め息をついて呟くと、ナギが僅かに身動いだ。
「いけね、ナギ兄部屋に戻さねぇと」
ハヤテはナギがまた起きたりしないように祈りながら、ズルズルとナギを部屋へ運び込んた。
「よっ…と!」
ドサッとナギをベッドに戻す。
「はぁ……あー疲れた!」
ハヤテはグタ〜ッとナギの横に寝そべった。
「マジ明日の朝、ナギ兄に文句言ってやる…」
言ったところで「は?夢でも見たのか?お前」と返されるのがオチだが。
つーか…
ホントに「寝ぼけてるナギ兄を寝かせる方法」って何なんだ?
まさか…
「疲れるまで暴れさせる」じゃねぇよな?
なんかシンなら言いそうだ…
そう考えながら、ハヤテはいつしかそのまま眠りに就いていた。
***
「……」
ナギはゆっくりと目を開け、天井を見つめた。
(朝か…)
部屋の薄暗さから、だいたいの時間を把握する。
そろそろ仕込みの時間だ。
起きて顔を洗って、食料庫に材料を取りに行かなくては。
それにしても、なんだか体が気だるい。
昨日の疲れが取れていないのだろうか。
まるで散々暴れまくった後のような疲労感が、体に残っていた。
ふーっ…と溜め息をつき、ナギは何気なく横を見る。
そして
「!?;」
飛び起きた。
そこには、気持ち良さそうに眠るハヤテの姿があった。
なんでハヤテがここにいるんだ!?
ナギは半ばパニックになり、慌てて昨夜のことを振り返る。
昨夜はレイシャの話を聞いた後で解散となり、各々が就寝の準備を始めた。
ナギは食器の片付けをし、明日の朝食のメニューを考え、見張番のソウシに差し入れをしてから部屋に戻った。
そういえば、歯を磨きにシャワールームに行った時、ハヤテに会った。
『お、ナギ兄お疲れ!明日の朝メシ何?』
『もう朝メシの話かよ。いいからとっとと寝ろ』
『んじゃ、楽しみにしてっから!おやすみ〜』
そのままハヤテは自室に戻っていったはずだ。
そして自分もあの後すぐに就寝した。
まさか…
ナギは思う。
こいつ…実は筋金入りの寝ぼけ癖があるんじゃねぇだろうな…
推理を始めるナギ。
真夜中に、シンの部屋から聞こえた赤ん坊の泣き声か何かで目が覚めたんだろう
そして寝ぼけたまま起き上がると、腹が減ったとか寝言を言いながら、無意識のうちに俺の部屋に入ってきたに違いない
そういえば、コイツが乗船して間もない頃、夜中に泣きながら腹が減ったと訴えてきたことがあったな…
(あの時なぜか俺はシンの部屋にいた気がするが、その辺の記憶は曖昧だ)
まったく…どこまで食い意地張ってんだ、コイツは…
まぁ育ち盛りだし、仕方ねぇか
ナギはハヤテの頭をポンポン叩くと、ベッドから降り、仕込みに向かった。
その後、見張番明けのソウシは、「ひどい寝ぼけに効く薬はないか」と、ナギとハヤテに入れ替わりに聞かれ、首を傾げたという。
おわり