お題
□うん、そんなのいやだ
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夢を見た。
真ちゃんの相棒は俺ではなく別のやつで、俺はそれを羨ましそうに見ているだけだった。
その日からどことなく上手くいかなくて、練習も散々。自慢のホークアイも精度が欠ける。
そんなこんなで数日が経ち、練習後、とうとう真ちゃんから呼び出された。
「最近どうした?」
心配そうに尋ねてくる真ちゃん。
今さら、貴方の相棒でいることが怖くなったんです。
そう言ったら何て言うかな?
そもそも、真ちゃんは俺が相棒で良かったのかな。
俺だから相棒に選んでくれたの?
それとも誰でも良かった?
そう考え出すと、自分が情けなくなってくる。
ああ、こんなにいつも一緒にいるのに、俺は真ちゃんのことを何も分かってなかったんだ。
「真ちゃんはさ、俺が相棒で良かった?」
ポツリと漏らす。
あまりにも小さすぎて聞こえなかったかもしれない。
「逆に聞くがお前はどうなんだ?」
「えっ?」
どうやら聞こえていたらしく、驚きで顔をあげれば、真剣にこっちを見つめる真ちゃんと目があった。
「別に、バスケに限ったことじゃない。」
段々と顔を赤らめる愛しい恋人にニヤリと顔が緩む。
何をうじうじ悩んでいたのだろうか。
別に俺らを繋ぐのはバスケだけじゃない。
バスケはきっかけにすぎなかった。
真ちゃんの隣も、唇も、その綺麗な手も全部全部俺のもの。
他の誰かのものになるだなんて考えただけでも……
「うん、そんなのいやだ。」
俺にとって真ちゃんは見返したくて堪らない存在だった。ちょっとしたいたずら心でちょっかいだしたら、いつの間にか大好きな存在になっていた貴方。
やっぱり天才の相棒は俺じゃなくきゃな。