我ら、篠原家!
□家族対立編 「目覚」
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その日、篠原家に帰宅したのは文哉と高貴だけだった。
洋平に続いて亮介までいなくなってしまったのである。
また、高貴はリビングに皆を集め、優翔という少年から聞き出した全てを話した。
七星天道の存在。
“親父”と呼ばれているリーダー。
大体の人数。
そして、優翔の能力。
話し終えても、しばらくは沈黙が続いた。
高貴「実はもう一つ。皆に伝えることがある……」
高貴の言葉に皆が顔を上げると、高貴の隣に立っていた文哉が携帯を開いて画面を見せる。
そこには、二枚の写メが横並びに映っていた。
わざわざ編集してくっつけたらしい。
高貴「末研。そこに写ってるものに見覚えがあるよな?」
影人「…………」
影人が画面を見据える。
そこに写っていたのは……
影人「あぁ……。京都で見つけたクレーターと同じだね」
採石場と近所の道に出来た、昼間はなかったはずのクレーターだった。
淳司「“京都で見たクレーター”って、例の“夢界”に関係あること?」
高貴「あぁ……。そして、このクレーター付近で靴が四足見つかった。……これだ」
高貴は、持ち帰った四足の靴、つまりは二人分の靴を皆の前に出した。
一同「「「ーーーッ!!!??」」」
それは、今現在捜索中の家族二人の物と見て、間違いはなかった。
優翔「へッへッへ。家族会議は憂鬱ってかぁ〜♪」
??「双眼鏡で覗き見ぃ? 趣味悪ぅ〜……」
優翔「うるっせぇなぁ百央(モナカ)。六人家族になっちまった奴らの顔は見物なんだよ〜ん」
百央「はいはい……」
百央と呼ばれた少女と、篠原家を遠くから観察している優翔。
優翔「それにしても、篠原高貴の能力は侮れねぇなぁ……。いつの間にか背後に瞬間移動されちまってたし……」
百央「それだけじゃないでしょ? 右手が刀で、左手が拳銃に変質してたんですって? 化け物ね……」
優翔「“七つの大罪(バッド・ジャッジメント)”ってのぁ、そういう能力なんだろうぜ。恐ろしや〜♪」
百央(アンタの能力だって化け物よ……)
内心、呆れる百央だが、優翔は気付いていないらしい。