新説 とある学園の死闘遊戯

□第00話 残
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 第七学区の“窓のないビル”。

 逆さま状態の学園都市統括理事長、アレイスター=クロウリーは微笑む。

アレイスター『ふふ……。ここまで計画(プラン)が崩れてしまうとは、もはや笑うしかあるまい……』

 彼の前でクルクルと回る立体映像画面。

 そこには、とある科学者の研究資料が映し出されていた。

アレイスター『木原彼岸……。原子崩しを利用した“暫定YS”の脳波研究は見事だ。しかし、その代償が第一候補(メインプラン)の命とは、いささか行き過ぎたようだ……』

 学園都市最強の超能力者、一方通行。

 木原彼岸と同じように、彼も既にこの世の住人ではない。

 原子崩しの意志と木原彼岸の企みによって起きた人体発火事件の真相にて、その命を落としてしまったのだ。

アレイスター『第二候補(スペアプラン)を利用した計画再開も案の一つだが、その意味は成せないだろう……』

 研究資料が映されていた画面が切り替わり、巨大な試験管に入れられた少女が映し出される。

 一方通行の実妹、鈴科百合子だ。

 先ほどアレイスターが口にした“暫定YS”とは、彼女のコードネームである。

アレイスター『状態は良好、か……。彼女も何かに再利用できるかと思ったが、見込みは薄いだろう……』

 一度、全ての画面が閉じられた。

 沈黙が、窓のないビルを満たしていく。



アレイスター『さて、どうしたものか……』



 そう呟いた手前、アレイスターの前に再び画面が映された。



 そこに映るのは、“見慣れている”が“見慣れない”少年だった。



 彼は眠っているかのように、実験機材のカプセルに収まっている。

 その場所は、おそらく木原一族の研究室だろう。

アレイスター『ふ、ふふふ……』

 アレイスターは笑う。

 まるで、嫌なことが立て続き、狂ってしまったかのように……。





アレイスター『木原彼岸……。君は本当に良いものを残してくれた……』





 そこに映る“プレゼント”を見つめながら、アレイスターは笑い続けていた。

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