新説 とある学園の死闘遊戯
□第01話 憑
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学園都市、第七学区。
とある高校の学生寮にて、上条当麻は暮らしている。
今現在、イギリスより帰国したインデックスも加わり、久しぶりの生活を取り戻していた。
そして、ここは風呂場。
同時に、上条当麻の寝室でもある。
上条当麻「ん〜……」
時刻は、早朝5時。
いまだに眠い目をゆっくりと開けると……。
風呂場の天井に、一方通行が寝そべっていた。
上条当麻「ーーーッ!! うわああああ!!」
上条、思わず絶叫。
その声に反応して、天井の一方通行が目を開ける。
一方通行『…………うるっせェ……。その顎ォ粉砕されてェのか?』
上条当麻「あ……、あぁ……。す、すまん一方通行……。まだ慣れなくてな……」
一方通行『……チッ』
ゴロン、と寝返りを打つ一方通行。
彼にとって、天井は床も同然のようだ。
上条当麻(それにしても、妙な感覚だなぁ……)
二度寝を始めた一方通行を見上げながら、上条は改めて思い返す。
一方通行は亡くなり、この一方通行は霊体(幽霊)なのだということを。
上条当麻(俺に憑りついて、俺にしか姿が見えないし声も聞こえない。でも、俺も含めて誰も触れない体、か……)
今の一方通行を見上げつつ、上条当麻は朝食を作るために台所へと向かった。
テーブルの上に、三人分の朝食が並ぶ。
上条当麻「今日は食パン(ジャムorマーガリン)と牛乳。これで勘弁してくれ」
インデックス「やだ」
一方通行『弾かれてェのか?』
今までの日常より、黒々とした朝食風景。
上条当麻「勘弁してくれってば!! インデックスには分からないかもしれないが、マジで一日三人分の食費は厳しいんだって!!」
一方通行『そもそも何で“三人分”作ってンだ? テメェが我慢すりゃ済む話じゃねェか』
上条当麻「それも試みたよ! でもインデックスの食う分を考えりゃ結局同じこと!!」
一方通行(俺なりのジョークが実証済みだとッ!?)
インデックス「むぅ……。あくせられーたが何を言ったのか分からないけど、とうまの台詞は聞き流せないかも!!」
インデックスに一方通行の声は聞こえない。
初めは一方通行の存在を信じなかったインデックスだが、物には触れられる一方通行が筆記用具で自己紹介したり、食事時に茶碗や湯飲みが浮いている事象を目にして、とりあえずは信じてくれたようだ。
一方通行『イイぜ、暴食シスター。そのまま三下に噛みついてやれ』
インデックス「むむッ! 今“噛みつけオーラ”をキャッチしたんだよ!」
上条当麻「都合のいいところだけ受信してんじゃねぇよ!! 今こいつ“暴食シスター”っつったぞ“暴食”って!!」
インデックスは上条を、上条は一方通行を、一方通行は朝食を、それぞれ相手にしている。
騒がしくも賑やかな食事風景は、いつものように流れていった。
ちなみに、朝食は一人分ずつ全員が完食しました。