新説 とある学園の死闘遊戯

□第04話 知
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 白井黒子と初春飾利は焦っていた。

 何度見たかも覚えていない飛行機の数。

 その全てから、人間が学園都市に降下していた事実が判明した。

 また、学園都市に降下侵入してきた人間は、全員が同じマスクを被っており、手には銃器を持っていた。

 黒一色のマスクを被った人間たちは、次々に学園都市の住人を撃ち続けている。

 無差別殺人が学園都市各地で起こっていた。

白井黒子「風紀委員ですの!! 大人しくお縄に……ッ!?」

 お決まりの台詞を言い終える前に、黒マスクの侵入者は発砲してきた。

黒侵入者『敵・排除』

 その声はマスクによって聞こえにくいが、感情と呼べるものが感じられなかった。

白井黒子(一体、何者ですの……?)

 空間移動で弾を避けた白井は、相手の死角から様子を窺う。

 その際に、初春に小声で連絡を取る。

白井黒子「初春……、聞こえますの?」

初春飾利『はい。聞こえています』

 学園都市の風紀委員として、目の前の問題に奮闘する。







 次々と住人たちに襲いかかる黒マスクの侵入者たち。

 警備員が避難を呼びかけ、必死で交戦する。

 撃たれれば撃ち返し、撃てないなら盾で防ぐ。

 その様子を、ビルの屋上から見下ろす人影がいた。

????「…………」

 携帯を片手に、状況の写メを撮影する。

 画像編集をして、少しだけ詳しく説明文を加えると、メールに添付して送りつける。

????「………よし」

 次にやるべきことを考えながら、人影はビルの屋上から出ていった。







 カエル顔の医者の病院。

 御坂美琴は焦っていた。

御坂美琴(どういうことよ……。一体、何だって言うのよ!!)

 カエル顔の医者が撃たれ、海原も撃たれていた。

 すぐに医師を呼んで、運んでもらった。

 幸い二人とも息はある。

 しかし、そのことについて焦っているのではない。

 今の美琴は、必死で逃げていた。

御坂美琴(何でよ……!! 何で、あの子が……!!)





 背後から、銃器を美琴へと向けた少女が追ってくる。

 銃を向ける御坂妹の表情には、感情がなかった。





 走りながら、逃げながら、美琴は白井に連絡を試みる。

 話せなくても、メールで連絡できる。

 連絡してから数分が経っているため、もうすぐ駆けつけてくれるかもしれない。

 御坂妹をどうにかしてほしいのではない。

 美琴自身を空間移動で別の場所へと転移してほしいのだ。

御坂美琴(私はあの子に攻撃できない。だからって、黒子になんて任せられない。何より、黒子もあの子も傷付いてほしくない!!)

 下手に能力も発動できず、逃げるのにも限界がある。

 白井の空間移動に頼るしか、この場から逃げられない。

 しかし……。

御坂美琴「ーーーッ!!」

 銃声が響き、美琴の右脚を貫いた。

 地面に転がり、動けなくなる。

御坂美琴「〜〜〜ッ!!」

 痛みに歯を噛みしめる美琴に、ゆっくりと近付く御坂妹。

 その手の銃器は、真っ直ぐ美琴を狙いつけていた。

白井黒子「お姉様ッ!!」

 駆けつけた白井が美琴に触れる。

 その瞬間、御坂妹が発砲した。

 空間移動が先か、弾が当たるのが先か。

 答えは……。








 白井と美琴が姿を消した。

御坂妹「…………」

 しかし、発砲した弾は見当たらなかった。

御坂妹「…………」

 御坂妹は、背を向けて歩き出す。

 懐から黒いマスクを取り出して、その顔に被せながら。

御坂妹「敵・排除」
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