我ら、篠原家!
□事件解決編 「事件」
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篠原家、朝の食卓。
それぞれが思い思いに食事を取る中、トーストを片手に新聞を読んでいた高貴が顔を上げる。
篠原家の父である高貴は、ボサボサとした黒髪をツンツンに固め、首からタオルを下げた格好をしているが、普段からこの調子だ。
高貴「“連続児童失踪事件”って何だ?」
香澄「新聞見てんだから読めばいいのに」
尤もな答えを返したのは、篠原家の長女である香澄だった。
眼鏡をかけた丸顔で、口元には笑みが浮かぶ彼女は、胸までとどく黒髪を払いながらテレビのリモコンへと手を伸ばした。
香澄「多分ニュースでもやってるよ。……ほらこれ」
テレビ画面には、先ほど高貴が口にした“連続児童失踪事件”を題にしたニュースが流れ、画面右上には“ついに13人目が行方不明に!”と映し出されている。
亮助「どうしたんだろうね……。最近の世の中は…」
洋平「さぁね。生活に嫌気がさして、家出でもしたい年頃なんじゃない?」
影人「規模が異常だろうがバ〜カ」
テレビに目を向けた亮助は、黒に限りなく近い紫短髪を掻きながら答える。
その後ろで、軽い殴り合いを繰り広げている洋平と影人に突っ込む者はいない。
短い黒髪だが、後ろ髪の毛先のみ赤黄色に染めている洋平と、眼鏡をかけ、黒色を更に黒く染めているような真っ黒い短髪をした影人の“犬猿の仲ぶり”は日常茶飯事だ。
遊里「まぁ……、確かに多いよね。これで13人目なんて」
淳司「外に出なけりゃ、問題ないと思うんだけどなぁ」
文哉「それはそれで別の問題が生じると思うよ……」
香澄ほど長くはないものの、女性らしい長さの黒髪を持つ遊里と、天然パーマな茶髪を持つ淳司の会話に、眼鏡をかけ、黒い短髪を持つ文哉が密かに突っ込む。
こんな面子の篠原家を見回し、高貴が軽々しく口を開く。
高貴「んじゃぁ、解決してみせますか」
彼らの目的は、マスターに抱かれている世の偏見をなくし、世間から存在を認めてもらうこと。
悪事を働くマスターがいるのなら、自分たちは善事を働くまでだ。