我ら、篠原家!

□事件解決編 「解決」
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 人気のない廃ビル。

そこには、縄で拘束された子供たちが何人も横たわっている。

事件は、やはり誘拐。

犯人である30代の男、“菊間”の誘拐目的は分からない。

泣きじゃくる子供達を慰めながら、遊里は機会を待っていた。

 菊間「……よぉ〜し、これで14人目だ……。あと…、6人……」

 遊里(……“あと6人”…?)

片手に隠し持っている遊里の携帯は現在……

 通話中……。





 影人「……“菊間”…、“子供”…、“14人目”…、“あと6人”……」

篠原家にある小さな研究所。

ブツブツと口ずさみ、情報を整理する影人。

遊里の携帯との通話を継続させ、犯人の人間像を探っていく。





 廃ビルの二階。

全て砕けている窓からは、月明かりが射し込んでいる。

 菊間「はぁ……、はぁ……」

 文哉「興奮してるとこ悪いけど、失礼させてもらうよ」

 菊間「ーッ!!?」

菊間が振り返ると、そこには一人の男が立っていた。

この部屋の入口は菊間の正面に一つあるだけで、他に入室口はない。

 菊間「貴様ぁ、……どこから、入ってきたぁ……」

 文哉「あぁ〜、ちょっと“ここの壁が欲しかった”んで、頂いちゃいました」

 菊間「…はぁあ?」

文哉が横に退くと、後ろには人一人分の穴が空いていた。

穴からは外の景色が覗いる。

 文哉「でも、もういりません」

そう言った瞬間、文也の服の中から“壁に空いた穴と同じ形をした石”が落ちてきた。

ゴトリと音を立てて落ちた石は、おそろく壁の穴にピッタリと収まるのだろう。

 菊間「ーなッ!!?」

 文哉「それと、もう一つ。俺は“運び屋係”みたいなもんなんだ」

再び、文也の服の内側がモゾモゾと動き出した。
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