我ら、篠原家!
□家族対立編 「夢界」
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影人「は?“マヨネーズ”?」
洋平「違うッ!! “マスターヨーズ”だッ!!」
篠原家の一室にて、洋平が影人に相談を持ち掛けていた。
洋平の能力は、当人が着ている衣類まで焼き尽くしてしまうため、燃えない衣服(戦闘コスチューム)を作ってほしいと頼んでいるようだ。
ちなみに洋平の言う“マスターヨーズ”とは、彼が名乗っていた“ヒーロー名”であり、某戦闘アニメで言うところの“グレートサイ○マン”みたいなものだ。
影人「あぁはいはい。作っておくから早く出てってくれ。研究の邪魔だ」
洋平(こ・の・や・ろ〜〜!!)
腹が立ったようだが、一応は作ってくれるらしいので、洋平は素直に退散した。
そして、一人になった研究所の影から、別の客人が顔を出した。
高貴「で? 何か分かった?」
影人「………」
高貴が尋ねたことは、先日の京都にて発見したクレーターのことなのだろう。
影人は、静かに答える。
影人「この世界は、どこかの誰かが見ている夢。“夢界”の可能性があるよ」
その回答は酷く単純で、とても信じがたい内容だった。
山形県東根市
ニヤニヤ、もしくはニタニタと怪しい笑顔で歩いている少年がいた。
しかし、そんな彼を至近距離から見た者も含めて、誰も気味が悪いと感じていなかった。
むしろ、彼の近くにいる者は全員が笑顔を浮かべている。
それは彼のような怪しい笑みではなく、素直に“笑顔”と呼べるものだった。
また、今にも自殺してしまいそうな雰囲気を漂わせる者ですら、彼と擦れ違った瞬間に生気を取り戻していく。
前置きしておこう。彼はマスターである。
??「へッへッへ。さぁて、様子を見に行ってみるか」
そう呟いた少年は、何処かへと歩き去っていった。