とある学園の死闘遊戯 罪

□第01話 帰還
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 一方通行が帰還した。

 アレイスターが行方知れずとなり、新たな学園都市が作られようとしている今。

 二代目統括理事長の不在は、住人にとって心細いものがあったようだ。

 当人は、黄泉川宅に顔を出した瞬間に殴られたらしい。

上条当麻「そっか、そのタンコブの原因は黄泉川先生か……。お前も大変だったんだなぁ」

一方通行「ほっとけ。つゥか、テメェはまだ車椅子なのかよ」

 杖を突く一方通行と、車椅子に座る上条当麻。

 第七学区の街中を並んで歩いている彼らは、周囲から注目を浴びていた。

 かつて、学園都市を救った二人のヒーローが揃っているのだ。

 無理もない。

 だが、その病人風な格好を気遣っているのか、近付こうとする者はいなかった。

上条当麻「浜面たちは残念だったけど、外の世界でも大変だったんだな……」

一方通行「その件も含めて全部話してやる。急ぐぞ」

 二人は、かつて“窓のないビル”が建っていた場所へと向かっていた。

 現在は跡形もなく取り壊され、学園都市再開記念公園“リフレクトパーク”が作られていた。

 見た目は噴水付きの何処にでもある自然公園だが、たった一つだけ普通と異なるものがあった。



 この公園内には、レストランがあるのだ。

 名を“食事処=新入生=”という。



 一方通行が統括理事長に昇格した際、彼が最初に始めたことは“学園都市の闇と暗部組織の完全解散”だった。

 アレイスターが消えた今、もう闇の中を彷徨う必要が無くなり、どんな人種でも光ある世界を歩かせるための行動だった。

 もちろん、そう上手くいくはずもなく、闇に慣れてしまった者は光の世界に馴染むには時間が掛かる。

 そこで、このレストランだった。

 つまり、ここで働いている従業員は全員が元・暗部(闇)の人間なのである。

上条当麻「まぁ、接客スタイルは荒れてるけどな」

一方通行「少しずつで構わねェンだよ。俺が治める世界に、ドロドロの闇なンざ作らせねェさ」

 ちなみに、例外も存在する。

 暗部に慣れきってしまった者や、まだ組織として活動したい者。

 そういった者たちは例外として、統括理事会の監視という条件下で“新生”という名を頭に活動を続けている。

一方通行「ンで? 俺がいねェ間に“新生グループ”が立ち上がったらしいな」

上条当麻「さすがに情報が早いな。土御門が正式なリーダー兼責任者として、一方通行を全力でサポートする組織らしいぜ?」

一方通行「そォかよ、ご苦労なこった。構成員は誰だ?」

上条当麻「リーダーが土御門で、副リーダー兼補佐が垣根さん。あとは海原と白井だな」

 そこから察するに、スクールの組織は解散後も再開しなかったらしい。

 風紀委員である白井が構成員という部分は引っ掛かりを覚えたが、既に暗部組織ではなくなった分、重荷ではないのだろう。

上条当麻「初春って子が羨ましがってたなぁ。白井に“垣根さんと一緒の職場〜ッ”って」

一方通行「仲良しサークルじゃねェンだ。四人のメンバーで十分だろ」

上条当麻「まぁな。元が四人構成だったみたいだし」







 第七学区、リフレクトパーク付近の喫茶店。

 青髪ピアスが携帯を片手に話し込んでいた。

木山春生『本当に済まない。できれば、もっと助力したかったのだが……』

青髪ピアス「こればっかりはしゃーないですよ。色々と、ホンマおおきに」

木山春生『こちらこそ。では、私は試験があるから』

青髪ピアス「頑張ってください、ほな」

 木山との通話を切ると、早くも次の連絡先を入力する。

 通話相手も直ぐに応じた。

アウレオルス『任務か?』

青髪ピアス「ちゃうちゃう、メンバー交代や。木山先生が、正式に学校教師を目指すそうやから、非公認組織“バブル”から外れてもろぉた」

アウレオルス『愕然、では今のバブルは三人構成か?』

青髪ピアス「“今は”やな。もう新しい子の目星も付いてる。モーマンタイやで」

アウレオルス『依然、準備が良いようだな』

青髪ピアス「なんや嫌な空気を感じるんよ。また騒動が起きそうや。新しい構成員が入ったら連絡するで」

 青髪ピアスが通話を切ったところで、リスレクトパークに一方通行たちが入っていくのが見えた。

 統括理事長の帰還を確認した青髪ピアスは、フッと笑って呟いた。

青髪ピアス「おかえり、ヒーロー」
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