とある学園の死闘遊戯 罪

□第03話 香水
1ページ/4ページ


 上条当麻は自宅にて、インデックスと言い合いを続けていた。

インデックス「とうまってば、また私を置いて魔術師と戦いに行くんでしょ! そういう無鉄砲なところは本当に治した方が身のためかも!」

上条当麻「だぁから魔術師じゃねえって!! トリックスターっていう連中が相手なんだからインデックスまで巻き込まれる必要ないっての!!」

インデックス「そんなサーカス団の一員みたいな宗派は聞いたことがないんだよ! とうまは嘘が下手すぎるかも!」

上条当麻「じゃあ魔術師だって決めつけてるインデックスさんは何なんですか!! いい加減に俺の話を理解してくれよ!!」







 上条宅のドアの前では、土御門と海原が待機していた。

 魔学サイドのトリックスター。

 スヴィルと名乗る者の存在。

 調べなければならないことが多いため、インデックスの知識を借りてみようとした。

 結果としては、空振りだった。

 魔学という言葉は存在するものの、科学と魔術を両立した力を指す意味では使われないらしい。

 トリックスターに関しては、魔術サイドはお手上げのようで、その存在すら知らされていない。

 スヴィルという人物も同じようで、魔術界の歴史に名を残している人物ではないらしい。

土御門元春「つまりだ。奴が名乗った“スヴィル”という名は、魔術に関する誰かを名乗っているわけでも、歴史に名を遺した巨匠を語っているわけでもないわけだ」

海原光貴「本当に、彼の本名なのか。はたまた瞬時に考え付いた偽名なのか。そのどちらかである可能性が高いわけですね」

土御門元春「可能性じゃない。そのどちらかで確定だ。魔術ってのは、そう簡単に知れ渡る名を隠ぺい出来るものじゃないからな」

 上条宅の中では、まだ言い合いが続いているようだ。

 インデックスを大人しく納得させるには、まだまだ時間が掛かるようだ。







 白井黒子は地道な聞き込みを続けていた。

 被害者の友人や、現場の主人たち。

 収穫は無に等しかった。

白井黒子「まぁ、当然ですわよね……。もう警備員の方々が回っているようですし」

 聞き込みに行った場所の80%は、既に警備員の操作が入っていた。

 迂闊に堂々とした聞き込みが出来なかったものの、白井も自分なりに頑張って動いていた。

白井黒子「しかし、参りましたわね……。新たに入手できた情報が、あまりにも少な過ぎますの……」

 憂鬱な気分を胸に、空間移動を使って病院の屋上へと戻ってきた。

 手すりに身を預けて、白井は深く溜息を吐く。

白井黒子(これではダメですわ……。風紀委員として、新生グループとして。わたくしが一番にでも頑張らなくてはなりませんのに……)

 どんなに集中しようとも、一人きりになると考えてしまうのは……、愛しいお姉様のことばかり。

白井黒子(………お姉様…)

 涙が出そうになった時、不意に気付いた。

 白井が身を預ける手すりの近くで、車椅子に座った少年が静かに外を眺めていることに。

白井黒子(あ、あら……。先客がいらっしゃったのですね……。気付きませんでしたわ)

 慌てて目元を拭って、車椅子の少年を見据える。

 黒っぽい灰色の髪をした、可愛らしい顔つきの少年は、白井の視線に気付いて振り向く。

 肩につきそうな、灰色のはねっ毛

美作アオイ「……何か用?」

白井黒子「い、いえ……。何でもありませんわ」

 車椅子には、何本もの点滴が取り付けられており、少年の胸には電子レンジのような黒々とした機械が取り付けられていた。

 そこから伸びる何本ものコードが、膝の上で綺麗に束ねられている。

 取り付けられている点滴も、四本の手足へと何本も伸びていて、見た目からしても重傷患者である。

 雰囲気では、まるで改造された人間のようで……。

白井黒子「貴方……、その顔つきで老い先短いんですの?」

美作アオイ「……それ最高(サイアク)。久々に殺意が沸いたよ」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ