とある学園の死闘遊戯 罪

□第01話 共通
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 学園都市の第十八学区。

 霧ヶ丘女学院に通う風紀委員、空波陸は机に広げたノートへと真剣な表情で筆を走らせていた。

 授業中なのだが、別に授業内容を書き記しているわけではない。

 学園都市中の風紀委員が頭を悩ませている、不可思議な事件が発生しているのだ。

空波陸(…………はぁ……)

 心の中とはいえ、彼女が溜息を吐くのは珍しい。

 制服の隙間からチラリと覗く、しなやかで雪のように白い肌を持つ体格。

 その綺麗な顔立ちには、かなり好戦的な目付きをした深紅の瞳。

 ウルフカットの黒髪という容姿端麗な彼女の雰囲気は、誰が見ても“疲労”の色が窺えるだろう。

 そんな彼女の様子を、AIM拡散力場から心配そうに見つめている少女がいた。

結標淡希「…………」

 元・暗部組織グループの構成員にして、霧ヶ丘女学院の生徒。

 “窓のないビル”の案内人も務めていた、空波の親友。

 結標淡希である。

結標淡希「いつまでも見守ってるだけ、ってわけには…いかないわよね………」

 結標は霧ヶ丘女学院を離れ、第七学区へと向かった。

 学園都市のほぼ中心に位置する学区であり、一方通行や上条当麻が住んでいる学区。



 そして、今現在風紀委員の頭を悩ませている事件が起きている事件の被害が、尤も多く発生している学区。



結標淡希「例え死人でも何か出来るはず……。このまま何もせずに眺めてるだけの日々とは、ここでお別れよ……」

 AIM拡散力場の世界を、結標淡希は駆け抜ける。







 第七学区のリフレクトパーク。

 常盤台中学の一年生、花一籠目が“食事処=新入生=”の店内に入る。

 質素なヘアピンを挿した、長いストレートヘアを振りながら、キョロキョロと辺りを見回す。

花一籠目「…………あれ?」

 中にいるお客を見回してみるが、とある常連客たちの姿が見当たらない。

番外個体「ん〜? そこのちびっこ、どうかしたぁ?」

 アルバイトの番外個体が、花一に気付いて声を掛ける。

花一籠目「あ、あの……。あ、一方通行さんたち、は……?」

番外個体「……ほっほ〜う♪」

 ニヤリと笑った番外個体の表情に、花一は一瞬だけビクつく。

番外個体「お客様がお捜しの、白い王子様はどこかしら〜ん?♪ 今日はまだ来てないのかにゃ〜ん?♪」

花一籠目「ーーーッ!!? し、しし白い、お、おおお、おおう、おうおうおうッ!!!!」

 大慌てでバタバタと腕を振る花一。

 予想以上の反応に、番外個体は腹を抱えて笑い転げる。

 客の目が注目する中、何事かと様子を見に顔を出したのは方向転換だった。

方向転換「なァにをゲラゲラ騒いでやがンだ、このバカ! ちったァ客の迷惑を……って、何だァ……こりゃ?」

 腹を抱えて苦しむ番外個体を全力で無視して、真っ赤な顔で立ち尽くす花一に目を向ける。

方向転換「一方通行にくっついてたチビガキじゃねェか。アイツは来てねェよ」

花一籠目「そ、そそそそ、そうですよね。あ、あは、あはははは…………」

 ホッとしたような残念のような。

 嬉しいんだけど寂しいような。

 ようするに、よく分からない反応を見せる花一。

 とりあえず番外個体を(軽く)ぶん殴って厨房へと蹴り入れる方向転換は、トボトボと帰宅しようとする花一へと声を掛けた。

方向転換「ここにはいねェが、多分あそこに集まってるだろォぜ」

花一籠目「あ、そこ……? それって、何処ですか……?」

 ヒラヒラと手を振って厨房へと戻る方向転換は、去り際に目的地を言い残した。



方向転換「風紀委員第177支部だ。次の事件の解決を急ぐンだとよ。ご苦労なこった」
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