とある学園の死闘遊戯 罪

□第03話 派遣
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 翌日。

 風紀委員第177支部にて、第七学区の覆面風紀委員を買って出ていた海原から連絡が入った。

 スピーカー機能のスイッチを入れ、白井が応対する。

白井黒子「こちら第177支部、白井黒子。如何なさいました?」

海原光貴『今回の事件について、良い情報と悪い情報を入手しました』

土御門元春「良い情報ってのは?」

海原光貴『第七学区のスキルアウトが、風紀委員や警備員と揉め事を起こした際に“警備員だろうと風紀委員だろうと始末してくれる派遣要員”がいる。とのことです』

一方通行「派遣要員だと?」

海原光貴『スキルアウト間では有名のようです。実際に要請した際には、本当に“始末”してくれたそうです』

 始末、とはどういう意味を指しているのだろう。

花一籠目「そ、それって……。こ、殺してしまったり…とか……」

海原光貴『残念ながら、その詳細の真偽は定かではありません。自分も、スキルアウトに成りすまして怪しまれずに話を伺うことが精一杯でした』

 スキルアウトの間で有名な派遣要員。

 頼めば、例え警備員だろうと風紀委員だろうと始末してくれる。

 具体的にどう始末するのかは分からないが、良い予感はしなかった。

一方通行(……黄泉川のヤツも、まさか始末されたってのか……)

垣根帝督(………初春…)

 嫌な予感に悩まされる二人だが、ここで苦しんでも仕方がない。

 本当に苦しんでいるのは、行方不明者の方なのだから。

花一籠目「………ナッちゃん…」

一方通行「…………」

 花一の呟きに、一方通行が不意に尋ねる。

一方通行「……風紀委員だったのか?」

花一籠目「……………はい」

 十中八九、花一の友人も被害者だろう。

 事件解決を急がなければならない理由がまた増えた。

上条当麻「でも、それがこの事件と直接的な関わりがあるのか? 確かに、“始末”なんて気持ちのいいもんじゃないけど、実際に行方が分からなくなる例とか……」

海原光貴『残念ですが、それが“悪い情報”に繋がります』

 声色を変える海原に、全員が押し黙る。

海原光貴『この情報を同時期に入手し、単独で行動に出た風紀委員“空波陸”さんが行方知れずとなりました』







 リフレクトパーク。

 食事処=新入生=にて、ソンシャンが昼食を食べていた。

 その隣にはステイルも相席している。

ステイル「セリーアの件はどうだ?」

ソンシャン「その件を聞いてどうします? 上条さんや一方通行さんならともかく」

ステイル「それもそうだ」

ソンシャン「ところで、調べていた“陣の件”は進展したのかな?」

ステイル「その件を聞いてどうする気だい? 君には関係ない上に管轄外だろ」

 決して良い雰囲気ではないものの、二人は黙々と食事を進める。

 二人の隣で食事をしていた細身の男性客は、さぞかし居心地が悪いだろう。

細身の男「すみません、席を変えましても?」

番外個体「あ、どーぞどーぞ。ご自由に」

 店内の空気も気にせずに食事していたソンシャンだが、不意にその手を止めた。

ステイル「詰まらせたか?」

ソンシャン「…………いえ、気のせいです」

ステイル「ん? 何がだい?」

 ソンシャンの発言の意味が分からなかったステイルは、当たり前だが聞き返した。

 鼻の辺りを押さえるソンシャンは、首を捻りつつ返答した。



ソンシャン「血の臭いがしたんです。口の中を噛んだのかと思いましたが、気のせいでした」
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