とある学園の死闘遊戯 罪

□第04話 意地
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 第十七学区の一角。

 アヴァリはとても楽しそうに微笑んでいた。

アヴァリ「うふふ♪ これだからお人形遊びは止められな〜い♪」

 目を閉じたアヴァリは、そう呟いては不気味に笑う。

 どんな力が働いているのかは謎だが、目を閉じたアヴァリには何かが見えているのだろう。

 例えるなら、どこかの研究所で戦っている超能力者とアステカの魔術師とか……。

????「随分と楽しそうじゃの」

アヴァリ「…………」

 そんな時、アヴァリに話しかける男がいた。

 目を開けてみれば、電動車椅子に座った初老の男性がそこにいた。

 見た目は薄汚く体型は小太りなため、その様は怠慢なホームレスだった。

アヴァリ「あらあら、こんなところまで珍しいわね。第十七学区まで何の御用かしら?」

????「………第十七学区? はて……? ワシは第七学区にいたはずじゃが?」

アヴァリ「迷子なのね」

 日傘をクルクルと回しながら、アヴァリは冷たく言い放った。

アヴァリ「今、ショーの真っ最中なの。一人で帰ってくださいな♪」

????「そうもいかん。ワシは極力、自分では動きたくないんじゃ」

 手元のリモコンを操作して、初老の男は使いを呼んだ。

 何処から出てきたのか、電動車椅子の背後からメイド服の女性が姿を現した。

????「第七学区まで戻っておくれ。ワシは寝る」

メイドA「かしこまりました」

 電動にも拘らず、男はメイドの女性に車椅子を操作させる。

 第七学区に戻っていく男を見据えて、アヴァリは深く溜息を吐いた。

アヴァリ「ホントに最低。怠惰な男はモテないわよ〜♪」







 垣根帝督は翼を広げて大空を飛ぶ。

 第二十一学区の貯水タンクに突っ込んだため、全身がビッショリと濡れていた。

垣根帝督「まずいッ! このままじゃ海原が危ねえ!!」

 急いで第十七学区へと戻ろうとするが、近付けば近付くほど演算能力が落ちていく感覚を覚える。

垣根帝督「な、何だ……こりゃ……ッ!!」

 ついには翼が消え去り、垣根が地に足を着けてしまう。

 しかし、その場所はまだ幸運な方だったかもしれない。



一方通行「オイ、何やってンだ?」

垣根帝督「あ、一方通行ッ!!」

 学園都市統括理事長、一方通行の真ん前だった。



一方通行「“水も滴るイイ男”でも気取ってンのかァ? 似合わねえよ」

垣根帝督「色々と突っ込みてえのは山々だが、今はそれどころじゃねえ!」

 垣根の形相から、一方通行は事態を察する。

一方通行「何が起きたってンだ」

垣根帝督「とにかく今は第十七学区だ。海原がアヴァリと戦ってるかもしれねえ!」

 その言葉に一方通行は驚いたが、その瞬間に携帯が鳴った。

 土御門からだ。

土御門元春『一方通行! ステイルから学園都市を中心にした陣の正体について連絡が入った!』

一方通行「そォかよ、だが悪りィな。今は聞いてやれる時間がねェ」

土御門元春『な、何だ。何があった?』

 一方通行は垣根に携帯を渡し、土御門に状況を説明させた。

 その説明を聞いて、一方通行も詳しい事態を把握する。

垣根帝督「そういうわけだ。だから俺たちは急いd」

土御門元春『いや、必要ない』

 土御門の返答は、ヒドくあっさりとしたものだった。
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