とある学園の死闘遊戯 罪
□第07話 強欲
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カエル顔の医者の病院。
美琴と初春の無事を見届けた上条は、遠方にて黒い翼が噴出していることに気付いた。
上条当麻「あれは……、まさかッ!!」
急いで駆け出す上条に、土御門から着信が入った。
土御門元春『カミやん! 黒い翼が確認できるか!!』
上条当麻「やっぱり一方通行の翼だよな!? まさか、アヴァリと戦ってるんじゃ!!」
土御門元春『可能性は高い! カミやんにしか倒せないことも伝えてはいるが、黒い翼が噴出してる以上、今は正気じゃない!』
話ながら走るのは走力が落ちる。
上条は通話を切ると、全速力で一方通行の許に向かう。
上条当麻「もう少しだけ待ってくれ、一方通行………ッ」
そして上条は……。
上条当麻「まだ、死ぬんじゃねぇぞッ!!」
一方通行の命を心配していた。
爆発した怒りが、黒い翼となって噴出する。
眼前のアヴァリを睨みつけ、一方通行は雄叫びを上げる。
一方通行「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおォォォォォ!!!!!!」
勢いよく膨れ上がる破壊の力。
その黒き巨木を、アヴァリの脳天に叩き落す。
しかし……。
アヴァリ「………何これ。全然楽しくなぁ〜い…」
一方通行の黒い翼を真正面から受けたアヴァリは、まったく無傷で立ち尽くしていた。
匁目の炎が効いていた以上、何か攻撃を受け入れてしまう穴が限定されているのか。
アヴァリ「つまらない、つまらないつまらない、つまらないつまらないつまらない、つまらないつまらないつまらないつまらないッ!!!!」
一方通行を指差したアヴァリは、怒鳴りつけるように叫び散らした。
アヴァリ「つまらねぇんだよ、統括理事長ッ!! そこの火力馬鹿と同じように! 串刺しになって死ねぇぇぇぇえええええええ!!!!」
瞬間、匁目の時と同じように、真上から降ってきた鉄パイプが一方通行を貫いた。
一方通行「ーーーッ!! が、ァ…ッ!!」
一方通行の、反射を潜り抜けて。
一方通行(何だってンだ!! クソッタレがァッ!!)
刺さった鉄パイプを引き抜き、アヴァリへと投げ返した。
一方通行「うッとォしィンだよ、三下がァァァ!!!!」
能力によって高速で撃ち出された鉄パイプは、最強の槍以外の何物でもなかった。
だが、それをアヴァリ素手で掴み取る。
アヴァリ「鬱陶しいのはテメェらだッ!! とっとと死ねよ!! 何で死なねぇんだッ!!」
アヴァリも、半ば正気ではないのだろう。
一撃で死んだはずの一方通行が、まだ目の前で生きているからだ。
今の一方通行は、黒い翼の力を借りて血流操作の能力を無意識下で底上げしている。
例え急所を貫かれたとしても、今の一方通行に出血はない。
一方通行「がァァァああああああああああああああ!!!!!!」
勢いよく跳躍した一方通行が、一気にアヴァリと距離を詰める。
だが、確実に首を掴めるだけの距離にいたはずのアヴァリが、一瞬で再び距離を離す。
一方通行(さっきから何が起きてやがるッ!? まるで、ヤツに都合を合わせるように現実が狂いやがる!!)
近付くのが無理ならば、先ほどと同じように遠距離から攻撃を試みる。
一方通行「マジでウザッてェッ!! テメェが先に死にやがれェッ!!」
バァンッ! と路地裏の壁を殴りつける一方通行。
その衝撃のベクトルを操作し、アヴァリの左右の壁を同時に崩す。
おまけに、アヴァリの足場をもボロボロに崩して落とし穴を空けた。
狙うのは生き埋めだ。
一方通行「くたばりやがれェェええええ!!!!」