とある学園の死闘遊戯 罪
□第03話 ・・
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スヤスヤと眠り続けるアセディの傍で、花一とメイドがベンチに腰掛けて休んでいた。
誘拐と殺人の罪を重ね、全国級の指名手配犯となってしまったアセディ。
現在はトリックスターの一員らしいのだが、まるで敵意が感じられない。
花一籠目「……何もしない、って言ってくれたのも、嘘じゃないんですね」
メイドA「そうですね。アセディ様は、花一様に危害を加えないでしょう」
花一籠目「………理由、聞いてもいいですか?」
メイドA「…………」
少しだけ間を空けたメイドは、はっきりと答えた。
メイドA「関心がないからです」
花一籠目「…………」
興味がないから。
そんな理由で危害の有無を決められる。
やはり、アセディも注意するべきトリックスターの一人なのだろうか。
花一たちを、こっそりと窺っている影があった。
公園の外から、隠れる形で垣根が様子を覗いていた。
垣根帝督「ま、とりあえず泣き止んだみてえだな」
一方通行に追い出され、泣きながら飛び出していったためか、少し心配していたようだ。
垣根帝督「このまま日常に溶け込んでくれよ。もう俺たちやトリックスターに関わらないようにな」
それにしても、と垣根は周りの二人に視線を移す。
メイド服を着た女性に、車椅子で眠っている初老の小太り男。
ちょっと異質である。
垣根帝督「……花一の知り合い、なのか? まあ、害がないなら構わねえんだが……」
その時、土御門からメールが届く。
珍しく電話じゃない理由は、添付データがあるためらしい。
垣根帝督「……ほお…“次のターゲットが絞り込めた”、か………」
その文には、次に現われるであろうトリックスターが判明したこと。
その人物の名前と、添付データは手配写真だった。
垣根帝督「怠惰の“アセディ=タイアーダ”か……。さて、写メは……」
送られてきた写メを開き、携帯画面に映す。
その人物は……。
一方通行は土御門からのメールを確認していた。
ここは第十学区の墓地。
眼前には花一匁目の墓石。
一方通行「…………」
一方通行は誰もいないこの場所で、ボソボソと何かを呟いた。
それは数字のようで、まるで携帯番号の11数字に聞こえた。
言い終わると、一方通行の携帯が鳴り出す。
通話ボタンを押して、開口一番に言い放った。
一方通行「やっぱくたばり損ねてたか」
花一匁目『いやいやいや、ちゃんと死んじゃいましたって。ていうか開口一番酷くない?』
電話相手は、アヴァリに殺された花一籠目の兄・花一匁目だった。
一方通行「とあるクソ野郎が“死者にさえも学園都市が潰れていく様を見せつける”とかホザいてたモンだからよォ。もしかしたらと思って試してみたらこの様だ」
花一匁目『それでわざわざ携帯番号教えに来てくれたのか? そりゃありがとさん。でも、一つだけ勘違いしてることもあるぜ』
一方通行「あン?」
花一匁目『こんな所に来なくても、俺は死後もアクセラレータとカゴメの傍にいたんだぜ? つまりだ……もう分かってるよな?』
一方通行と花一の傍にいた。
それはつまり、風紀委員第177支部での出来事を全て見ていたことになる。