とある学園の死闘遊戯 罪
□第01話 鬼事
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第七学区のとある高校。
保健室にて、上条当麻の姿があった。
と言っても、別に上条が病人というわけではない。
上条当麻「まったく……無茶しやがって。俺以外の奴に見つかったら色々と面倒だろうが」
エツァリ「申し訳ありません。ですが、おかげで助かりました。ありがとうございます」
リハビリ気分で外を歩き、この高校の前で傷口が開いてしまったエツァリ。
たまたま通り掛かった姫神に助けられ、保健室に向かうまでの間に上条と出くわしたのだ。
エツァリ「姫神さんにも、お礼を言っておいてください」
上条当麻「自分で言った方がいいんじゃないか? 初対面じゃないんだろ?」
エツァリ「それは自分だけですよ。姫神さんにとって、この顔は赤の他人に過ぎません」
ソンシャンによって行われた死闘遊戯にて、エツァリと姫神は顔を合わせたことがあった。
しかし、それはあくまでも海原の顔で、姫神はエツァリの顔を知らない。
上条当麻「……そっか、分かっt……ん?」
ここで、上条の携帯が振動する。
着信だ。
上条当麻「誰からだ……?」
携帯を開けば、花一籠目の登録名。
通話ボタンを押し込む。
上条当麻「もしもし? あぁ、俺だ………え? それって、どういう……」
エツァリ「…………」
話の内容が分からなくても、その様子からして良い話でないことはエツァリにも伝わった。
上条当麻「……分かった。ここにエツァ…海原もいるから伝えておく。じゃあな」
エツァリ「どうしました?」
上条当麻「………アセディ=タイアーダが殺されたらしい。それも、スヴィルの手で…」
エツァリ「ッ!?」
上条当麻「しかもスヴィルは、花一の目の前で堂々と告げたらしいぜ……“次が始まる”ことを……」
エツァリ「……“次”…ですか…。順番で言えば、次は“憤怒”でしたか……」
上条当麻「アヴァリみたいに、向こうから登場してくれりゃ話が早いんだが……。そう上手くもいかねぇよな……」
上条が呟いた矢先、それは起こった。
そう遠くはない爆発音と、黙々と立ち昇る黒煙。
保健室の窓から見えるそれは、二人のよく知る場所から昇っている様だった。
上条当麻「ーーーッ!? な、なんだ!?」
エツァリ「今の爆発は……!? それに、あの方向は……ッ」
学舎の園。
そして、常盤台中学が存在する区画だった。
上条当麻「今の爆発は普通じゃない! あの煙だって、まるで大火災じゃないか!!」
エツァリ「早く駆け付けてあげてください! この状態では、自分は動けません。どうかお願いします!」
返事をするのも惜しいくらい、上条は保健室を飛び出していった。
それを見送ったエツァリは、何とか身支度を整えようとする。
エツァリ(御坂さんは入院中の身。白井さんも、新生グループの活動を優先して登校はしていなかったでしょう……。きっと、花一さんも……)
包帯をきつく巻き、傷口を最低限の力で塞ぐ。
強く締めすぎては、血の巡りが悪くなるかもしれないからだ。
エツァリ「ですが、だからと言って常盤台中学がどうなってもいいとは思えませんね。何より、自分にはあの場所に、もう一度向かわなければならない理由がある……」
校内の生徒たちが大騒ぎする中、騒動に混じってエツァリが高校から去っていく。
目指すは、上条と同じ常盤台中学。
美琴も白井も花一もいない今、常盤台中学で何が起こったのか。
それを知る者はいない。
AIM拡散力場。
常盤台中学爆破事件に気付いていたのは、表の住人だけではなかった。
浜面仕上「急に何だってんだよ……」
原子崩し「あの方向は常盤台中学……。随分と都合のいいアクシデントですね……」
滝壺理后「これも、あのスヴィルって人の仕業?」
絹旗最愛「分かりませんが可能性は超高いですね。浜面は超どうします?」
浜面仕上「決まってんだろ」
麦野沈利を奪われ、今回のゲームにて取り返すこと。
その舞台として、スヴィルは何らかのイベントを起こすはずだ。
浜面仕上「目指すは常盤台中学だ。そこに麦野を取り返すヒントがあったとして、俺たちが動かなきゃ誰が動くってんだ!」