万屋グループ

□グループ 第1話
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 一方「………」

 結標「………」

 海原「………」

 土御門「さ〜て、今宵も仕事を始めるぜよ」

路肩に停車している黒いワンボックスカー。

その車内で、万屋「グループ」の活動(依頼の仕事)が始まる。


 海原「今回は、どのような依頼ですか?」

 土御門「今回の依頼は“大野様”からの“配達業”だぜい」

 結標「配達業? 荷物を届けて欲しいってことかしら?」

 土御門「間違っちゃいないが、規模が甚大だ」

 一方「……チッ、めンどくせェ…」

いち早く状況を理解したらしい一方通行は、さっさと身支度を始めた。

 海原「つまり、…配達する範囲が広いということですか?」

 土御門「ご名答。北海道から九州まで、沖縄なんてのもあるぜよ」

 結標「はぁ!? 冗談じゃないわ! 私はイヤよ。今回はパスするわ」

 杉山「え? 結標ちゃん降りるの?」

 一方「………どっから生えてきやがった」

 杉山「俺、植物? ねぇ?」

グループの下部組織に身を置く杉山がひょっこりと顔を出したが、結標はお構いなしだ。

 結標「今回の依頼じゃ、私は活躍できないでしょ? だからパス。足手まといは要らないわ」

 一方「懸命だな。足枷女」

 結標「………」


 その後、軽く口喧嘩した結標が結局仕事に加わることになったのは言うまでもない。





  北海道美唄市。

学園都市製の小型飛行機が飛び立とうとしていた。

 操縦しているのはグループの人間であり、狭いスペースには何百種類もの乳製品が積まれている。

 土御門「OKだぜい! そんじゃぁ、しゅっぱ〜つ!!」

異様にハイテンションな土御門も含め、小型飛行機は配達先へ向かう。





  新潟県妙高市。

一通りの配達を既に終えた海原は、結標と連絡を取っていた。

 海原「こちらの分は全て終わりました。結標さんはどうですか?」

 結標『こっちはまだまだ。はぁ〜、だるいわ……』

 海原「仕方がありませんよ。依頼ならば完遂するのが万屋グループの務めです」

 結標『はぁ、分かってるわよ。どうせなら手伝ってくれない? 男手が欲しいんだけど』

 海原「たしか、結標さんは沖縄に向かわれたんですよね…? 今から其方に……?」

 結標『安心しなさい。30分くらいなら待ってあげる』

そう言い残し、結標は通話を切った。

 海原「……やれやれ、自分が一体何をしましたか…」

一人、静かにうな垂れる海原だったが、それでも足は、沖縄へと向かう。





  沖縄県糸満市。

海原との通話を切ってから28分後。

どういうルートか、海原の姿がそこにあった。

 結標「チッ、20分にしておけば良かったわ……」

 海原「無茶をさせてくれますね……。普通なら不可能ですよ?」

 結標「その不可能をやり遂げるアンタは異常の塊よ」

 杉山「雑談中のところ悪いんだけど……」

二人の会話に割り込んだのは、沖縄の物資の運搬を手伝っていた杉山だ。

“雑談”の単語には嫌な反応を見せた二人だが、自分たちにとって良い話しは聞かされそうにないことを悟り、続きを待った。

そして、杉山は告げた。


 杉山「香川に行った一方通行の運搬車が事故に遭ったそうなんだけど、問題はそこじゃない。大破した運搬車ごと、届け先の東京に運んでいるらしい」
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