とある銃器の天界戦争

□第01話 村長
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 とある山の中。

 人口、数十人という小さな村があった。

 村がある以上は村長も暮らしており、村人たちはとても豊かな生活を送っていた。



 村長の家に、一方通行たちが“降って”くるまでは……。



村人男A「奴らは何処へ行った!!」

村人男B「こっちにはいねぇ! だが近くにいるはずだッ!!」

村人女A「早く見つけ出さなきゃ! 村長さんが危ない!」

 村人たちは大慌て。

 その様子を、近くの木の上から観察している男がいた。

 名を、浜面仕上という。

浜面仕上「……おい、どうすんだ? この状況……」

 浜面は、木の上で静かに問いかける。

 彼の隣に、真っ白な少年が座っていた。

 名を、一方通行という。

一方通行「どォするも何も、さっさとこっから出ていくしかねェだろォが」

浜面仕上「今出てったらリンチ確定だっつーの。俺たちが村長さん家に突っ込んだせいで、思いっきり襲撃者扱いじゃねぇか」

一方通行「……くっだらねェ…」

 一方通行たちも、正直なところ何が何だか分かっていない。

 一方通行は生きたまま天界に侵入し、浜面たちを見つけ出すことには成功した。

 天界から連れ出す際に、天使共の逆鱗に触れたらしく突然追われ始め。

 気が付けば天界から真っ逆さまに落とされてしまった。

 浜面以外のメンバーもいたはずだが、天界から落ちた際に別れてしまったらしく、一方通行の近くには浜面しかいなかった。

 おまけに二人が落ちた場所は、この小さな村の村長の家。

 村人が騒いで当然だろう。

一方通行「だが、村長は不在だっただろォが。何で隠れる必要があンだ? あァ?」

浜面仕上「………すまん、つい逃げ癖が…」

 事実、二人は村長自身に危害を加えていなければ、本人に会ってすらいない。

 途端に隠れてしまった手前、今更姿を現すことも躊躇われた。

一方通行(その気になりゃ強行突破で村を出る手もあるが、問題は成功率が出せねェことだな……)

 更に、今の一方通行は難題を抱えていた。





 今の一方通行は、一方通行(アクセラレータ)の超能力が使えないのだ。





一方通行(代理演算には問題ねェし、充電もある。演算式も完璧に組めるっつーのに、能力自体が発動しねェ……。どォいうことだよ、一体……)

 一方通行自身も、その理由を知らなかった。

 これでは、ただの無能力者同然である。

一方通行(冗談じゃねェぞ……)

浜面仕上「しっかし、何でまた能力が使えなくなってんだ? これじゃ、無能r」

一方通行「それ以上の無駄口が必要かァ?」

浜面仕上「…………サーセン」







 一方通行たちのいる村から少し離れた山中。

 二人の少女が歩いていた。

????「待ってよ、美鳥ちゃ〜ん! 歩くの早いよぉ〜……」

 真っ白なロリータ衣装を着た、桃色の長髪を持つ女性が叫ぶ。

 叫ぶと言っても、前方を歩く少女に聞こえるような大声という程度だ。

 山登りをナメている様にしか見えない姿で、桃髪の女性がスタスタと早歩きをした。

 美鳥と呼ばれた少女が、彼女に振り向いて呟いた。

喜界島美鳥「…桃香、遅い。日が暮れるよ…?」

白河桃香「そ、そこまで遅くないよぉ……」

 桃香と呼ばれた女性が、美鳥に追いつく。

 美鳥は、その名に相応しく緑色の長髪を持っているが、身長は極端に低い。

 桃香の身長は160センチ程あるはずだが、その半分もないくらいだ。

 顔は無表情に近く、声も大きくはない。

 元気がないように見えるが、普段からこの様子である。

喜界島美鳥「…もうすぐ。頑張って…」

白河桃香「おぉ、もうすぐかぁ! それまで頑張りま〜す!」

 二人は再び歩き出す。

 この先の、一方通行たちがいる村を目指して。
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