とある銃器の天界戦争

□第02話 図書
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 天界。

 だらしなく椅子に腰掛けている天使長の前に、美鳥が報告を行っていた。

喜界島美鳥「…以上が、現状の報告になります…」

天使長「おー、ご苦労さん……」

 美鳥の報告内容に、天使長は反応を示さなかった。

喜界島美鳥「…何か、思うところは…」

天使長「んあ? あー……、俺たちの“エンジェルピース”……もとい、魂銃に似た不可思議な武器、だったっけ……?」

 エンジェルピースというのは、おそらく美鳥や桃香が扱ってる拳銃やライフルといった銃器のことだろう。

 通称を“魂銃”というらしい。

 “俺たち”という表現から、天使長も所持していると思われる。

喜界島美鳥「…まだ不確かな事柄ばかりですが、どのような対処を…」

天使長「ん〜……、特にいいんじゃないか?」

 天使長は簡単に返答する。

天使長「今までと同じ。天界の秩序を乱した生者・一方通行は罪人として始末して、連れ出された死者たちは回収すること。出来るね?」

喜界島美鳥「………はい…」

 天使でありながら、生者を始末することに抵抗を覚える。

 しかし、これが天界の決まりである以上は従う他に道はない。

 美鳥は桃香と共に、再び一方通行たちのいる下界へと降りていった。







 誰もいなくなり、天使長だけがポツリと残された。

 部屋の天井に取り付けられたスピーカーから、ボイスチェンジャーの機械声が流れ出す。

 天界を統べる天使・大天使である。

大天使『……聞いていましたよ』

天使長「あー、やっぱり? どう思います?」

 大天使を相手にしても、だらけた態度は崩さなかった。

 キリッとするのが面倒なのだろう。

大天使『貴方が思っていることに、同意できると胸を張れますよ?』

天使長「……ってことは、やっぱり“アレ”か……」

 大きく溜息を吐いて伸びをした天使長は、椅子に深く腰掛けて呟いた。



天使長「“天界戦争(エンジェルピース)”か……。しかし、まさか生者が扱えるとはな……」



 一方通行が手にした、刀の柄。

 半透明な刀身を振るい、美鳥たちと交戦できた力。

 あの武器には、天界とどのような繋がりがあるのだろうか。

大天使『現状を維持することに意見はしません。しかし、物事の進展次第では貴方にも動いてもらうかもしれません。覚悟はしておきなさい』

天使長「……は〜い…」

 スピーカーからの音声が途絶え、部屋は再び静かになる。

 先ほどと同じように溜息を吐いた天使長は、心の底から本音を呟いた。

天使長「………めんどくさ…」







 ところ変わって、ここは下界。

 天界の下に位置する、生者の暮らす世界。

 ただし、現在一方通行と行動を共にしている浜面は、天界から連れ出した死者である。

 死者を下界へと連れ出すことに成功してしまった一方通行は、天界の秩序を乱した罪人として、天使たちから追われる身となった。

 下界に降りる際に、連れ出した死者たちと離れ離れになっている一方通行。

 果たして、今後の彼はどのような道を突き進むのだろうか。
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