とある銃器の天界戦争
□第04話 砂漠
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一方通行の視線に気付いた桃香は、慌ててスカートを押さえて飛び退いた。
十字架を模した鈍器、磔神が地に落ちる。
白河桃香「わわわッ!! エッチッ!!」
一方通行「反応が遅ェっつゥンだよ!」
飛び起きた一方通行は天界戦争を振り回して叫び散らす。
そこで気付いた。
先ほどまでの“異変”が消えている。
一方通行「………動く」
浜面仕上「一方通行?」
手や足に目を配り、磔神を拾い上げた桃香を睨む。
一方通行「テメェの得物の能力、ってわけか……」
浜面仕上「能力って……、何かあったのか?」
一方通行「あァ、刀ァ握った手が固まっちまったよォに動かなかった。殴られた後は足が動きやがらねェ。能力以外の何モンでもねェだろ」
白河桃香「はぁ〜、バレちゃったか。ま、隠すことでもないけどね♪」
磔神を肩に担いだ桃香は、自慢するように説明を始めた。
白河桃香「私の“磔神”が持つのは“殴りつけた物をその場所に縫い留める”能力。刀を叩けば握っていた手に留まり、その身を殴れば立っていた地に留まってしまう。そんだけ〜♪」
それを知った一方通行は舌打ちし、浜面も驚愕する。
浜面仕上「マジかよ!? それじゃ攻撃を防ぐことも出来ねぇじゃねぇか!」
どうするべきかと後ずさりする中、一方通行たちと桃香の間に美鳥が割って入った。
一方通行「……あン?」
白河桃香「美鳥ちゃん?」
喜界島美鳥「……戻るよ。天使長様が呼んでる…」
その言葉に、滝壺が反応した。
滝壺理后「天使長……」
その後、一方通行たちは退散した美鳥たちを気にしつつ山を登った。
山を越えた先にあるのは……。
天界。
喜界島美鳥「…天使長様、これは………」
天使長「ま、見りゃ分かるだろ?」
天使長の前に、縄で縛られた二人の少女がいた。
眠っている様子の少女たちはピクリともしない。
天使長「脱走中のお二人さんだ。名は“絹旗最愛”と“結標淡希”だったっけ? いっか、どーでも」
喜界島美鳥「………天使長様が自ら捕獲へ?…」
天使長「まっさかぁ、他の子だよ。勝手に出動して勝手に捕まえてきたのさ。」
美鳥たちが手こずってる連中を二人も捕獲した者がいる。
その事実が、美鳥は少しだけ悔しかった。
喜界島美鳥「…誰ですか? その天使兵は…」
天使長「お、気になっちゃう?」
美鳥の真剣な眼差しに、天使長はやれやれと答えだした。
天使長「清水くんだよ。君の先輩」
喜界島美鳥「………そうですか…」
くるりと、美鳥は天使長に背を向けた。
天使長「何処へ行く気だい?」
喜界島美鳥「…彼らの捕獲に向かいます。次は、私も全力です…」
誰もいなくなった一室で、天使長は呟いた。
天使長「急げよ〜、一方通行たちが“合流しちまいそう”だ。それにしても……」
天使長「なんか、展開が旨過ぎやしねぇか?」