とある銃器の天界戦争

□第04話 砂漠
1ページ/4ページ


 一方通行の視線に気付いた桃香は、慌ててスカートを押さえて飛び退いた。

 十字架を模した鈍器、磔神が地に落ちる。

白河桃香「わわわッ!! エッチッ!!」

一方通行「反応が遅ェっつゥンだよ!」

 飛び起きた一方通行は天界戦争を振り回して叫び散らす。

 そこで気付いた。

 先ほどまでの“異変”が消えている。

一方通行「………動く」

浜面仕上「一方通行?」

 手や足に目を配り、磔神を拾い上げた桃香を睨む。

一方通行「テメェの得物の能力、ってわけか……」

浜面仕上「能力って……、何かあったのか?」

一方通行「あァ、刀ァ握った手が固まっちまったよォに動かなかった。殴られた後は足が動きやがらねェ。能力以外の何モンでもねェだろ」

白河桃香「はぁ〜、バレちゃったか。ま、隠すことでもないけどね♪」

 磔神を肩に担いだ桃香は、自慢するように説明を始めた。

白河桃香「私の“磔神”が持つのは“殴りつけた物をその場所に縫い留める”能力。刀を叩けば握っていた手に留まり、その身を殴れば立っていた地に留まってしまう。そんだけ〜♪」

 それを知った一方通行は舌打ちし、浜面も驚愕する。

浜面仕上「マジかよ!? それじゃ攻撃を防ぐことも出来ねぇじゃねぇか!」

 どうするべきかと後ずさりする中、一方通行たちと桃香の間に美鳥が割って入った。

一方通行「……あン?」

白河桃香「美鳥ちゃん?」

喜界島美鳥「……戻るよ。天使長様が呼んでる…」

 その言葉に、滝壺が反応した。

滝壺理后「天使長……」







 その後、一方通行たちは退散した美鳥たちを気にしつつ山を登った。

 山を越えた先にあるのは……。







 天界。

喜界島美鳥「…天使長様、これは………」

天使長「ま、見りゃ分かるだろ?」

 天使長の前に、縄で縛られた二人の少女がいた。

 眠っている様子の少女たちはピクリともしない。

天使長「脱走中のお二人さんだ。名は“絹旗最愛”と“結標淡希”だったっけ? いっか、どーでも」

喜界島美鳥「………天使長様が自ら捕獲へ?…」

天使長「まっさかぁ、他の子だよ。勝手に出動して勝手に捕まえてきたのさ。」

 美鳥たちが手こずってる連中を二人も捕獲した者がいる。

 その事実が、美鳥は少しだけ悔しかった。

喜界島美鳥「…誰ですか? その天使兵は…」

天使長「お、気になっちゃう?」

 美鳥の真剣な眼差しに、天使長はやれやれと答えだした。

天使長「清水くんだよ。君の先輩」

喜界島美鳥「………そうですか…」

 くるりと、美鳥は天使長に背を向けた。

天使長「何処へ行く気だい?」

喜界島美鳥「…彼らの捕獲に向かいます。次は、私も全力です…」







 誰もいなくなった一室で、天使長は呟いた。

天使長「急げよ〜、一方通行たちが“合流しちまいそう”だ。それにしても……」



天使長「なんか、展開が旨過ぎやしねぇか?」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ