とある銃器の天界戦争
□第07話 宮殿
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一方通行たちを囲む形で、次々と木偶人形が姿を現していく。
大天使の宮殿より放たれたミサイルは、その全てが木偶人形(無限の兵士)を生み出す“種”だったのだ。
一方通行「チィッ! どこまでもウザッてェ!!」
一方通行は天界戦争を抜き、解号を唱えた。
一方通行「“突き進めッ! 代闇(シロヤミ)ィ!!”」
天界戦争が解放され、一方通行(アクセラレータ)の能力が復活する。
そして、己の得物を構えているのは一方通行だけではない。
喜界島美鳥「…“孕め、油蜂”…」
白河桃香「“奉れ! 磔神!!”」
天門寺音々「“呑み殺せ! 蛤鮫ッ!!”」
今まで一方通行を追いまわしていた美鳥たちや、上級天使兵の音々が参戦する。
木原数多「んで? テメェらはどうするんだ?」
木原が問いかけたのは、黒衣と清水の二人。
木原数多「あっちの三人が解放したってことは、俺の話を少なくとも信用してくれてんだろ……。その上で、テメェらはどう行動する気だ?」
白井黒衣「……ハッ、俺は俺が暴れたいように暴れるだけだ。人形共が邪魔なら、大天使様のモンだろうとぶっ壊すだけだ!」
バズーカ砲の暴君帝王を振り回しながら、黒衣は高らかに叫ぶ。
よく見れば、その右目には“100番”の数字が眼球に刻まれており、中級天使兵最強の階級を示していた。
清水鈴梨「はぁ……。その好戦的な性格が治れば、お前も俺みたいな上級天使兵になれると思うんだがな……」
溜息を吐きつつ、清水も二丁拳銃を取り出す。
右の耳たぶに刻まれた“93番”の数字。
上級天使兵の力を解放して……。
清水鈴梨「“魅せろ、鬼神(オニガミ)!”」
刀と脇差に形を変えた、己の得物を振りかざす。
大天使の宮殿前。
とある上級天使兵が一方通行たちを観察していた。
????「…………」
その姿は、緑色ではなく白い髪をした美鳥そのものだった。
美鳥との血の繋がりはないが、天使とは稀に赤の他人に似た姿で生まれてくることがあるらしい。
彼女は黒い軍服のような衣服を着て、その手に持つ機関銃を構えた。
????「…………」
天使長「……やめておけ」
不意に、背後から声を掛けられた。
振り返れば、そこには全身を血に染めた天使長が立っていた。
????「…ッ!? 天使長様、その姿は…」
天使長「話は後回しだ……。直ぐに、この子たちを、彼らの所へ……」
天使長の背後には、いまだに眠り続ける絹旗と結標が横たわっていた。
この傷で、ここまで運んできたのだろう。
????「…彼女たちは逃亡した死者なのでは?…」
天使長「話は後回しだと、言っただろ……。緊急事態なんだ。誰も、この宮殿に近付けるなよ……」
そう言い残して、天使長は宮殿の奥へと引き返していった。
一人残された上級天使兵の少女は、絹旗と結標を小さな背中に背負って、一方通行たちの所へ向かった。
天界の某所。
木原と心愛を追ってきた水嶋は、ようやく天界に辿り着いていた。
水嶋蒼「……さて、仕事しなくちゃ……」
木原たちを探して、彼は天界を飛び回る。