とある銃器の天界戦争

□第08話 幻想
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 一方通行は、目の前の状況が信じられなかった。

 眼前に立つ少年は、苦笑いしながら口を開いた。

上条当麻「あ〜……、あっはは。やっぱ驚いたよな」

一方通行「テメェ……、上条…か……?」

 目の前に立っているのは上条当麻。

 その左目には、アレイスターとの戦いで負った傷を表す黒い眼帯があった。

 だが、一つだけ不自然なものがある。



 上条は……“立っていた”のだ。



一方通行「……テメェ、上条じゃねェな」

上条当麻「えっ? ちょっと待ってくれ。信じられないのは分かるが、これが現実だぜ?」





一方通行「今の上条は、重傷患者として車椅子で生活してるはずだ。二本足で立ってるテメェは何なンだ? あァ?」





 上条が、ニヤリと笑う。

上条当麻「なぁんだ。やっぱ馬鹿じゃなかったか。学園都市第一位は伊達じゃなかったか……」

一方通行「ナメ腐ってンじゃねェよ。つゥか、今は統括理事長だボケが」

上条当麻「どっちでもいいじゃねぇか、そんなの」

 不意に、上条の身体が歪み始める。

 形を変え、全く別の人物へと姿を変えた。

 しかし、それは一方通行もよく知る人物だった。

御坂美琴「さて、それじゃお話を始めましょうか?」

垣根帝督「それともこっちがお好みか?」

浜面仕上「いやいや、ここは仲間の口からってな」

土御門元春「何を言ってる。仲間からってんなら、俺の方が適任だにゃー」

 コロコロと姿形を変え、一瞬の隙もなく別の人物へと成りすましていく。

 眼前で始まるマジックショーに付き合うつもりはなかった。

一方通行「それがテメェの能力か?」

打ち止め「う〜ん……、そうなっちゃうのかなぁって、ミサカはミサカは首を傾げてみたり」

木原数多「厳密には違うかもしれねぇが、まぁその認識でも問題ねぇよ」

海原光貴「ですが、こちらの世界観に合わせるのでしたら、この能力の方が正確ですね」

 不意にショットガンを取り出した海原は、一方通行の足元へと構えた。

 それは威嚇ではなく、しっかりとした攻撃だった。





海原光貴「“芽吹け! 種子島(タネガシマ)!!”」





 ショットガンから鉄砲へと形を変え、弾丸が床へと放たれる。

 その場所から、メキメキと木偶人形が生えてきた。

一方通行「なるほどな……。あの木偶人形はテメェの得物だったのか……」

 一方通行が木偶人形の出所を知った瞬間、両側の隔壁が同時に破壊された。

 二つの解号と共に。





美恥蛍「…“落とせ、殺助(コロスケ)”…」

天使長「“刈り取れ、体新(タイシン)!”」





 大きな戦斧を持った蛍と、鎖鎌を構えた天使長が飛び込んできた。

 目の前の黒幕を中心に、一方通行と蛍と天使長が挟み込む形で陣が完成する。

海原光貴「おやおや、隔壁を壊して突破してきましたか」

天使長「ほぉ、やっとその面が拝めたぜ。まだ子供じゃないか」

一方通行「正体なンざ分からねェよ。コロコロと顔を変えやがる」

天使長「………これって、ぬか喜び?」

一方通行「知るか」

 そんな会話を交わしている最中、行動していたのは蛍だった。

美恥蛍「…一瞬で、決める…」

 殺助という戦斧を振りかざし、海原の頭へと叩きつけた。
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