とある学園の死闘遊戯
□第01話 始
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一方通行(……あァン? なンだァ…こりゃ……?)
一方通行は、いつもは感じないはずの寝苦しさに目を覚ました。
寝台から起き上がり、周りを見渡す。
照明が点いているため部屋は明るい。
点した覚えはないのだが、一方通行は一番重要な問題に気付いていた。
いや、彼でなくとも気付いていただろう。何故なら……
一方通行「ここは……何処だ……?」
寝る前の場所と、目覚めた場所が、全く違う……いや、見覚えすらない部屋にて一方通行は起床したのだ。
よく見れば寝ていた寝台は古く、揺らせばギシギシと音が響く。
備え付けの棚はあるが、置いてある物はなにもなく埃が積もっているほどだった。
椅子とテーブルも用意されているが、こちらも相当古いらしく、使われていないのか埃だらけだ。
しかし、それしかない。
この部屋には、古くなった寝台と棚と椅子とテーブルがそれぞれ一つずつ。
どれも埃が積もり、物と呼べるような物は一つも見当たらない。
一方通行は首もとのチョーカーを確かめる。
一方通行(演算は……って、なンだこりゃ?)
首に手を触れて気がついた。
一方通行の首には電極付きのチョーカーはあるが、それとは別にもう一つ、チョーカーの上に位置する形で首輪が着けられていた。
一方通行(悪くねェ趣味だが褒められはしねェな。この俺に首輪とはイイ度胸してやがる……)
一方通行はポケットの中を探る。
右手に装着していた杖がある以上、歩行に支障は来たさないが、それだけでは心許ない。
彼にそう言った不安や恐怖があるのかは別問題だが、訳の分からない場所を歩き回るのは情報がほしいのだ。
一方通行(携帯は……あったか。アンテナも三本立ってやがる。……あァン? なンだこりゃ?)
本日三度目の疑問符を浮かべた一方通行がポケットから取り出したのは、またしても身に覚えのない物だった。
一方通行(PDAだァ? なンでこンなモンが入ってやがる……)
携帯端末(PDA)を取り出した一方通行は、しばらくPDAを眺めてから再びポケットの中身を探る。
しかし、もうそれ以上の収穫はなかった。
一方通行(俺の手元にあるのは、PDAが一つと携帯が一つ。杖とチョーカーがある以上、いつも以上の不便はねェが、この首輪はなンだってンだ……)
一方通行は、もう一度首輪に触れてみる。
能力を使って壊して外してもいいのだが、首輪が意味することが分からない以上、下手に行動は起こせない。
とりあえず、携帯が使えるのならば発信するのみだ。
一方通行は、己が守ると決めた少女達の上位個体へと連絡を取る。