とある学園の死闘遊戯

□第02話 表
1ページ/5ページ


上条当麻「はぁ……不幸だ……」

 上条当麻は不幸な人間だ。

 その身に宿る“幻想殺し”は、あらゆる異能を打ち消してしまう。

 それが例え、神様のご加護であろうとも……。

上条当麻(上条さんは何かしましたかねぇ〜……。一体どうして不幸な目に合わねばならないのですかぁ〜……。もう慣れたけど)

 虚しすぎる現実と事実を噛み締めながら、学園都市の街中を散歩する。

 今日は金曜日の祝日。

 いつもなら傍らにインデックスがいるのだが、野暮用でイギリスへと帰国している。


ステイル『本来なら、禁書目録の管理人として君も同行しなければならないのだが……。今回の事件は特例中の特例でね。幻想殺しを関わらせるわけにはいかないんだ。いや、むしろ邪魔だから一生消えててくれ』


上条当麻(あぁんの不良神父がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)

 一方的な言い分に腹立たしい感覚を覚えずにはいられなかったが、今のイギリスが“上条自身”ではなく“幻想殺し”に関わられては困るらしい。

 ならば、上条がイギリスへ渡る必要はなくなったわけだが、それはそれで寂しいものがあるのだ。

上条当麻(はぁ……)

 そして、朝から散々だった。

 朝といっても、まだ昼と呼べるほど時間は経っていない。

 つまりは、ついさっきのことである。

 朝食を作ろうと台所に立った瞬間、昨夜の内に上条宅のみ停電したらしく冷蔵庫は全滅。

 トーストマシンは故障。フライパンには前触れもなく穴が空く。

 終いには、市販のパンで済ませようと思ったら、買ったばかりの全てのパンにカビらしきものを発見。

 賞味期限は一週間以上もあるのに……。

上条当麻(不幸だ……)

 常人なら発狂してもおかしくはないが、上条当麻には日常茶飯事だ。

 公園に入ると、真っ先に目に付くのが自動販売機。

 お札を飲み込む故障自販機であり、どこかのお嬢様が蹴りを入れて飲み物を入手する故障自販機。

上条当麻(………そういやぁ……)

 上条当麻は辺りを見回す。

 いつもどおり、数人の人で賑わう小さな公園だが、上条にとっていつもと違う一点があった。


 上条当麻(おっかしいなぁ……。いつもなら意味もなく現れるっつーのに……)


 上条当麻の知り合いであり、名門常盤台中学のお嬢様。

 学園都市が誇る七人の超能力者の第三位。


 御坂美琴は今日この日、上条当麻の前に現れなかった。


上条当麻「…………」

 しばらくボーっとする上条当麻。

 おもむろに携帯を取り出す。

上条当麻「よ、よ〜し……。折角の休日だぁ。誰か誘って遊びに行くかなぁ〜……」

 ぶっちゃけ、寂しかったらしい。


上条当麻「……あれ? 土御門は留守か?」

 土御門、不在。

上条当麻「……青髪は……旅行中だっけ」

 青髪、旅行中。

上条当麻「……………おい、まさか浜面も留守なのかよ!?」

 浜面、不在。

上条当麻「ちくしょう!! ならば一方通行だ!! これで不在なら一人で過ごしてやる!!」

 一方通行、…………応対。


上条当麻(ーッ!! さすが学園都市第一位は裏切らない!!)

一方通行『誰だテメェ!? ブチ殺されてェか!!?』

上条当麻「えええええええええええええええぇぇぇぇぇ!!!?????」

 開口一番、ブチ殺し宣言だった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ