とある学園の死闘遊戯
□第03話 集
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一方通行は、今いる場所を特定するために歩いていた。
見た目はただの建造物内であり、長い廊下が続く中、壁には扉も見受けられた。
しかし、それらは空き部屋ばかりで、人が生活していた気配は皆無だった。
更に、よくよく考えれば不自然な点がいくつもある。
一方通行(窓が一つもありゃしねェ……。それに、外への出入口もだ。一体どォやって出入りすンだか……)
慎重に歩みを進めながら、一方通行は更に考える。
一方通行(上条と連絡が取れンのは幸いだったな……。外は日常が広がってるらしいし、巻き込まれた“参加者”とやら以外は無事なンだろうな……)
外で暮らしている黄泉川たちを思いながら、打ち止めの保護と超電磁砲の確認など、やらねばならないことを再定義しながら一方通行は進む。
すると……
一方通行(ーーーッ!!?)
一方通行は足を止める。
目の前は曲がり角になっており、その向こうは分からない。
ただ一つ分かるのは、その向こうから複数人の足音が聞こえてくることだ。
一方通行(ハンッ。“物静か”ってわけじゃねェが、足音ってのァそれなりに響くンだな……)
笑みを作った一方通行は、壁に背をつけて待ち構える。
チョーカーのスイッチを入れるのは足音が近付いた瞬間からでいい。
なるべく温存した方が都合がいいのだ。
一方通行(足音から逆算して……、二人から三人か……)
コツコツと近付いてくる足音。
チョーカーのスイッチを入れて待ち構える。
曲がり角の直ぐそこで、相手側の動きが止まった。
一方通行(チッ! 気付かれたかッ!!)
カチャカチャとした音が聞こえる。
一方通行は、この音の正体に覚えがあった。
一方通行(拳銃だァ? それも、この金属音は学園都市製だな……。つーこたァ、やっぱここは学園都市なのか……)
しかし、一方通行には腑に落ちない点があった。
一方通行(学園都市製の拳銃をこのクソゲームで扱ってンのか? だとすりゃあ、黒幕は暗部の可能性がある……)
覚えていた感覚を頼りに、一方通行はゆっくりと考える。
たとえ発砲してこようとも、今の一方通行は反射を適応している。
相手側が自滅するのがオチなのだ。
しかし、
一方通行(………あァン?)
一方通行は気が付いた。
既に音は静まり、辺りには静寂が広がっていた。
にも関わらず、相手側からのアクションが起こらないのだ。
一方通行(……なンだってンだァ?)
仕方なく、一方通行は少しだけ曲がり角の向こうを覗き見ることにした。
するとそこには…………