とある学園の死闘遊戯

□第03話 集
1ページ/5ページ


 一方通行は、今いる場所を特定するために歩いていた。

 見た目はただの建造物内であり、長い廊下が続く中、壁には扉も見受けられた。

 しかし、それらは空き部屋ばかりで、人が生活していた気配は皆無だった。

 更に、よくよく考えれば不自然な点がいくつもある。

一方通行(窓が一つもありゃしねェ……。それに、外への出入口もだ。一体どォやって出入りすンだか……)

 慎重に歩みを進めながら、一方通行は更に考える。

一方通行(上条と連絡が取れンのは幸いだったな……。外は日常が広がってるらしいし、巻き込まれた“参加者”とやら以外は無事なンだろうな……)

 外で暮らしている黄泉川たちを思いながら、打ち止めの保護と超電磁砲の確認など、やらねばならないことを再定義しながら一方通行は進む。

 すると……

一方通行(ーーーッ!!?)

 一方通行は足を止める。

 目の前は曲がり角になっており、その向こうは分からない。


 ただ一つ分かるのは、その向こうから複数人の足音が聞こえてくることだ。

一方通行(ハンッ。“物静か”ってわけじゃねェが、足音ってのァそれなりに響くンだな……)

 笑みを作った一方通行は、壁に背をつけて待ち構える。

 チョーカーのスイッチを入れるのは足音が近付いた瞬間からでいい。

 なるべく温存した方が都合がいいのだ。

一方通行(足音から逆算して……、二人から三人か……)

 コツコツと近付いてくる足音。

 チョーカーのスイッチを入れて待ち構える。

 曲がり角の直ぐそこで、相手側の動きが止まった。

一方通行(チッ! 気付かれたかッ!!)

 カチャカチャとした音が聞こえる。

 一方通行は、この音の正体に覚えがあった。

一方通行(拳銃だァ? それも、この金属音は学園都市製だな……。つーこたァ、やっぱここは学園都市なのか……)

 しかし、一方通行には腑に落ちない点があった。

一方通行(学園都市製の拳銃をこのクソゲームで扱ってンのか? だとすりゃあ、黒幕は暗部の可能性がある……)

 覚えていた感覚を頼りに、一方通行はゆっくりと考える。

 たとえ発砲してこようとも、今の一方通行は反射を適応している。

 相手側が自滅するのがオチなのだ。

 しかし、

一方通行(………あァン?)

 一方通行は気が付いた。

 既に音は静まり、辺りには静寂が広がっていた。

 にも関わらず、相手側からのアクションが起こらないのだ。

一方通行(……なンだってンだァ?)

 仕方なく、一方通行は少しだけ曲がり角の向こうを覗き見ることにした。


 するとそこには…………
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ