とある海賊の航海日誌

□01日目 小船の海賊
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 人の住処は木や葉で作られ、食べ物の9割が野菜類。

 ここは、人以外の動物が存在せず、植物によって形作られた島。

 昔は“植物の島”として知られていたが、今では見た目から“難民の島”と呼ばれている。

 そんな島にも、心無い海賊が上陸することがあった。

 物静かだった町並みに、銃声が響き渡る。

川辺鱒句「愚民共ォ!! 俺に逆らえば……って、言わなくても分かるよな〜。野郎共ぉ! 食料でも奪っていけぇ!!」

配下男A〜G「「「押忍ッ! 川辺船長!!」」」

 町は悲鳴と叫びに包まれ、海賊達の襲撃が始まる。

 川辺と呼ばれた海賊船長は、酒場を見つけるとズカズカと入ってきた。

酒場店主「ヒィッ!!」

川辺鱒句「おい、客が来たら何するか。分かってるよなぁ?」

酒場店主「な、何にしますか?」

川辺鱒句「………あぁ?」

 川辺が店主を睨む。

 そして、拳をバキバキと鳴らしながら腕を振りかぶって叫んだ。

川辺鱒句「“お代は結構ですので飲み放題で〜す”ぐらい言えやボケがァッ!!!」

一方通行「ボケはテメェだ」

 ドゴォンッと、川辺の体が店主を殴る前に真横へ飛んだ。

 反対側には、真っ白な姿の少年が座っている。

酒場客A「な、なんだ……? あの子、今なにをしたんだ?」

酒場客B「分からねぇ……。軽く殴った感じがしたが、あの海賊ぶっ飛んだぞ……」

 酒場の隅まで飛んだ川辺が、ゆっくりと起き上がった。

川辺鱒句「いってぇ……。何しやがんだ小僧ォ! 俺が誰か知らねぇのか!!」

一方通行「三流海賊団船長・川辺鱒句。懸賞金50万の賞金首にして、最弱の海賊船長。あってるよなァ?」

 黒いバンダナを頭に巻いた少年は、スラスラと答えた。

川辺鱒句「こ、このクソ小僧ォ〜!! 」

一方通行「なンだァ? やる気か三下ァ?」







 町外れの雑貨店。

雑貨店主「500円」

上条当麻「〜〜〜ッもう一声!」

雑貨店主「お客さん、いい加減にしてくんない?」

 レジ台の上に並べられた商品の取引に頭を悩ませている少年がいた。

 赤いスカーフを首に巻いた、ツンツン頭の少年だった。

雑貨店主「もとの値段が1,200円だよ? 半額以下の500円で“もう一声”ってナメてるよね?」

上条当麻「そこを何とか!! 上条さんはどーしてもコレが欲しいんです!! でも持ち金は少ないんです!!」

雑貨店主「ふぅ〜……。じゃぁ幾ら持ってるの? 場合によっちゃぁ、もう少し考えてあげるよ」

上条当麻「あざーっす!! 今はこれくらいで……」

 上条は、自分の財布を店主に渡した。
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