とある海賊の航海日誌
□02日目 金髪の盗賊
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浜辺には、小船が一隻。
ここは書物の島と呼ばれる、本屋に古書店、図書館などが多く存在する島である。
白い髪を隠すように、黒いバンダナを頭に巻いた一方通行と、ツンツン頭を隠すことなく赤いスカーフを巻いた上条当麻が、島の町中を歩いていた。
上条は、手に持つ手配書を眺めながら“うーうー”と唸っている。
一方通行「耳障りだな。その口、縫い止めてやろォか?」
上条当麻「だって、上条さんの懸賞金がたった170万……」
一方通行「そこらの三流海賊よりは、ずゥっと高ェがな。テメェには有り余るくらいだ」
上条当麻「それは慰めてるのか? それとも言葉による追撃か? どっちでせうか?」
一方通行「後者に決まってンだろバーカ」
肩を落としてガックリと項垂れた上条は、少ししてから一方通行に質問した。
上条当麻「それで? 海図とコンパスを手に入れたら、もう島を出るのか?」
一方通行「当たり前だ。俺には、テメェを連れて行かなきゃならねェ島がある。のンびりなンざしてらンねェンだよ」
連れて行きたい島?と首を傾げる上条だったが、それが何処なのか聞くことは出来なかった。
上条に向かって走ってきた男が、見事にぶつかってきたからである。
上条当麻「うおッ!!」
土御門元春「にゃー!!」
ズテーン!と、在り来たりな音を立てて横転した上条と男。
男は金髪にサングラスをかけており、アロハシャツを着ていた。
おかしな格好だと上条が思っていた矢先、男を追いかけてきたらしい大柄の大男が目の前に立った。
大柄大男「やっと捕まえたぜ。盗人野郎」
上条当麻「へ?」
土御門元春「あちゃー……」
一方通行「…………あァ?」
後ろを振り返る一方通行。
そこに、上条の姿はなかった。
一方通行「なンだなンだよなンですかァ? 迷子かよあの馬鹿」
一方通行の片手には海図とコンパスが握られている。
一方通行が建物の影に隠れ、表が騒がしいところを見ると、また盗難品なのだろう。
一方通行「しっかし、さすがは書物の島。宝の地図とはいかなくとも、立派な海図を用意してるとはなァ」
一方通行は海図を広げる。
彼が指差して場所を確かめた島には、その島の名を記されていた。
一方通行「“海賊の島”……。早ェとこ向かわなきゃなンねェな……」
この時、一方通行は珍しく油断していた。
鈍器を持った店主に見つかり、後頭部を殴打された一方通行は意識を失った。