とある海賊の航海日誌

□02日目 金髪の盗賊
1ページ/5ページ


 浜辺には、小船が一隻。

 ここは書物の島と呼ばれる、本屋に古書店、図書館などが多く存在する島である。

 白い髪を隠すように、黒いバンダナを頭に巻いた一方通行と、ツンツン頭を隠すことなく赤いスカーフを巻いた上条当麻が、島の町中を歩いていた。

 上条は、手に持つ手配書を眺めながら“うーうー”と唸っている。

一方通行「耳障りだな。その口、縫い止めてやろォか?」

上条当麻「だって、上条さんの懸賞金がたった170万……」

一方通行「そこらの三流海賊よりは、ずゥっと高ェがな。テメェには有り余るくらいだ」

上条当麻「それは慰めてるのか? それとも言葉による追撃か? どっちでせうか?」

一方通行「後者に決まってンだろバーカ」

 肩を落としてガックリと項垂れた上条は、少ししてから一方通行に質問した。

上条当麻「それで? 海図とコンパスを手に入れたら、もう島を出るのか?」

一方通行「当たり前だ。俺には、テメェを連れて行かなきゃならねェ島がある。のンびりなンざしてらンねェンだよ」

 連れて行きたい島?と首を傾げる上条だったが、それが何処なのか聞くことは出来なかった。

 上条に向かって走ってきた男が、見事にぶつかってきたからである。

上条当麻「うおッ!!」

土御門元春「にゃー!!」

 ズテーン!と、在り来たりな音を立てて横転した上条と男。

 男は金髪にサングラスをかけており、アロハシャツを着ていた。

 おかしな格好だと上条が思っていた矢先、男を追いかけてきたらしい大柄の大男が目の前に立った。

大柄大男「やっと捕まえたぜ。盗人野郎」

上条当麻「へ?」

土御門元春「あちゃー……」







一方通行「…………あァ?」

 後ろを振り返る一方通行。

 そこに、上条の姿はなかった。

一方通行「なンだなンだよなンですかァ? 迷子かよあの馬鹿」

 一方通行の片手には海図とコンパスが握られている。

 一方通行が建物の影に隠れ、表が騒がしいところを見ると、また盗難品なのだろう。

一方通行「しっかし、さすがは書物の島。宝の地図とはいかなくとも、立派な海図を用意してるとはなァ」

 一方通行は海図を広げる。

 彼が指差して場所を確かめた島には、その島の名を記されていた。

一方通行「“海賊の島”……。早ェとこ向かわなきゃなンねェな……」

 この時、一方通行は珍しく油断していた。

 鈍器を持った店主に見つかり、後頭部を殴打された一方通行は意識を失った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ