とある狭間の平行世界

□第11話 第一学区B
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 第一学区、某デパート。

 既に閉店しているにも拘らず、デパート内部にて上条Bたち三人が集まっていた。

 おそらく一方通行の学区長権限だろう。

上条当麻B「一応、来たる戦争に向けて改めておくことがある」

浜面仕上B「えーっと……、戦争ってどんな感じで始まるんだ?」

 根本的なことから訊き始めた浜面Bに、一方通行Bが説明する。

一方通行B「各学区三人の学区長は、それぞれの学区内で待機。他の住人共が学区長を狙って各学区に攻め入り、最後に残った学区長が治めてる学区の勝利だ」

 第二学区の御坂美琴、第三学区の一方通行、第四学区の麦野沈利。

 この三名はそれぞれの学区内から出ることが許されない。

 ただし、その学区の中ならば何処にいても問題はない。

上条当麻B「学区長以外で動き回る住人の件だが、敵味方の制限がないってのはどういうことなんだ?」

浜面仕上B「…は? なんだそりゃ、そんなの聞いてねぇぞ」

一方通行B「仲間割れも有り、ってだけの話だ」

 他学区を攻め入る住人たちには、襲うべき対象に制限を付けられていない。

 第二学区の住人が同じ第二学区の住人を襲うことも許されており、第四学区の住人が第三学区の味方をすることも許されている。

 同じ学区の仲間であっても、能分者の本能から“あいつと戦ってみたかった”という気持ちを抱く者は少なくない。

 この戦争に便乗し、思いっきり戦える場を提供する意味でなら、仲間割れも問題視されていないのだ。

 これは戦いを抑え込むことで生まれるストレスから、能分者が暴走する危険性を抑えるために受理されたことでもあった。

浜面仕上B「ていうか、別の学区に協力するのも問題じゃねぇのか……。結局、自分の学区を裏切ることにも繋がりそうだけどな」

上条当麻B「それが狙いでもあるし、協力した学区を出し抜くことも出来るだろ」

一方通行B「とりあえず共闘しておいて、周りが片付いたらそいつもグサッてなァ」

 最終的には、最期まで残っていた学区長の学区が勝利する。

 第三学区の住人が何十人と残っていても、一方通行Bが倒されれば第三学区の敗北。

 自分以外に全員がやられてしまったとしても、麦野沈利が残っていれば第四学区の勝利。

 そして、三つの学区の通り道となっている第一学区。

 この場所が一番騒々しい戦場と化すのだろう。

一方通行B「別世界の俺も、第三学区から出すわけにはいかねェ。もしも別の学区で動いてりゃ、それは俺じゃなくとも俺が失格と見なされる」

上条当麻B「つまり、学園都市中を自由に動き回れるのは俺と浜面の四人てことか」

 二人の一方通行は第三学区から出られない。

 被害者数を抑えるために上条Aと浜面Aには大きく動いてもらうことになるだろう。

上条当麻B「ところで、一方通行はこの戦争をどんな終わりにしようと思ってるんだ?」

一方通行B「それは、誰が勝つか、って意味か?」

 上条Bは頷く。

一方通行B「ンなモン、どォでもイイ。誰が勝つかじゃねェンだよ。誰でもイイから早い内に終わらせて、そン時に犠牲が少なけりゃな」

上条当麻B「そっか」

浜面仕上B「…………」

 とりあえず納得した様子の上条Bと、無言でいる浜面B。

一方通行B「戦争は三日後。何処を襲おうと構わねェが、被害は最小限に抑えておけよ」

上条当麻B「分かってるって」

 こうして、三人の話し合いは終わりとなった。

 上条当麻B、一方通行B、浜面仕上Bは、それぞれの学区へと帰っていった。



 と、思われたが、そうではなかった。



浜面仕上B「おい、大将」

上条当麻B「ん? どうした?」

浜面仕上B「ちょっといいか?」

 浜面Bが、一方通行Bが帰っていったのを確認してから上条Bを呼び止めたのだった。
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