とある学園の死闘遊戯U

□第01話 日
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 学園都市の第十学区。

 唯一、墓地が存在する学区内に一方通行の姿があった。

 両サイドには、土御門元春と海原光貴が並んでいる。

海原光貴「早いものですね……。あの事件から二週間ですか……」

土御門元春「確かにな。まだ昨日のことのように覚えているぜい」

一方通行「………もォ終わったことだろォが。思い出させンじゃねェよ」

 昏倒事件。

 十三人の被害者を出し、五人の死者を出した魔術師絡みの大事件。

 あの事件から二週間後。

 一方通行たちは亡くなった結標たちの墓参りに来ていた。

 今は片付けも終えて、帰ろうとしていたところだ。

一方通行「結標のヤツも、助けられたらよかったんだろォな……」

土御門元春「もう終わったことだ。思い出させるんじゃねぇよ」

海原光貴「あはは……」

 事件から帰還した八人の中に、一方通行たちも加わっていた。

 命を賭けた事件から凱旋した彼らは、取り戻した日常を謳歌する。

 亡くなってしまった者たちのためにも……。







 海原とは途中で別れた。

 何でも、もうすぐ常盤台中学の下校時間らしい。

一方通行「一度でも補導されりゃァ、頭冷えるンじゃねェのか?」

土御門元春「残念ながら、海原は簡単には捕まらないさ」

 第七学区の街並みを、一方通行と土御門が並んで歩く。

土御門元春「次はカミやんの見舞いか? ご苦労さんだな」

一方通行「上条の怪我は俺の責任みてェなモンだ。つーか、テメェは行かねェのかよ」

土御門元春「今日は舞夏が帰ってくr」

一方通行「オーケー、もう喋るな」

 土御門とも早々に別れた。

 杖をつく足取りも重く、一方通行は病院を目指す。







 その道中。

 公園近くのオープンカフェの一席。

 一方通行はあまり見たくない光景を目にしていた。

初春飾利「はい、垣根さん。あ〜ん」

垣根帝督「あ〜ん♪」

 一つだけ注文された巨大パフェを、二人で食べさせ合っているカップル。

 垣根帝督と初春飾利だ。

垣根帝督「ん? よう、一方通行」

一方通行「話しかけンじゃねェよ、クソメルヘン」

初春飾利「こんにちは〜」

 一方通行に気付いた二人が声をかけてくる。

 嫌な顔を作ってはみるが、メルヘンとお花畑には効かないらしい。

一方通行「風紀委員の仕事はどォした?」

初春飾利「今日はお休みです。あの事件以来、仕事が増えちゃってお休みもなかったんですけど、やっと公休日になりました」

垣根帝督「よしよし、お疲れさん」

初春飾利「えへへ」

 頭を撫でてくれる垣根に、初春は気持ちよさそうな表情を作る。

一方通行(仕事が増えた、ねェ……)

 そんなバカップルな二人を無視して、一方通行は歩き出した。
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