とある学園の死闘遊戯U
□第02話 焼
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焼けるような痛み。
一方通行が朝一番に感じたのは、耐えられぬほどの激痛だった。
一方通行「あ、あぐゥッ!! ぐォォォああああああああああああああああああああああああああああああああああああァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
血管を流れる全身の血液が沸騰するような痛み。
骨がガリガリと削られていくような痛み。
肉がズタズタに引き裂かれ、挽肉に変えられていくような痛み。
それらは全て、強大な熱として一方通行の全身を襲った。
焼けるような熱さに身体をくねらせ、床に落ちる。
打ち止め「ど、どうしたの!? しっかりして、ってミサカはミサカは叫びかけてみる!! よ、ヨミカワぁあ!!! 一方通行がぁああ!!!!」
遠退いていく意識。
しかし、ここで手放すわけにはいかない。
何かが起こっていることを実感していた一方通行は、ただこの時間に耐え続けた。
数十分後。
ようやく落ち着いた一方通行は、リビングのソファに寝かされていた。
意識は、既にはっきりとしている。
黄泉川愛穂「一体、どうしたじゃんよ? 一方通行……」
番外個体「怖い夢を見た……、ってわけじゃなさそうだしね」
一方通行「ハァ………、ハァ………、ハァ………」
パジャマが汗でぐしょりと濡れ、肩で荒い息を繰り返す。
自分の体から炎が上がらなかったことが不思議なくらい、焼けるような痛みに襲われていた。
芳川桔梗「何らかの症状の可能性は? 冥土帰しに連絡してみたr」
一方通行「ハァ……、ハッ……、いらねェよ………」
起き上がろうとする一方通行を、打ち止めが慌てて支えだす。
打ち止め「まだ寝てなきゃダメだよ、ってミサカはミサカは……」
一方通行「離れてろクソガキ……。これが普通じゃねェってことぐらいは分かってる………」
今の状態が異常である以上、下手に周りを巻き込むわけにはいかない。
杖を握りしめた一方通行は、その足で玄関へと向かっていく。
黄泉川愛穂「ち、ちょっと! どこに行くつもりじゃんか!?」
一方通行「決まってンだろ! この状態の解明だ……。何が起きてるか分からねェ以上、テメェらの近くにはいられねェンだよ……」
黄泉川愛穂「一方通行……」
一方通行の言葉に、黙ることしかできなくなってしまった黄泉川。
警備員として、子供を守る大人として、何も出来ないのは苦痛だった。
番外個体「これはミサカの独り言だけどぉ……」
玄関にいる少年に聞こえる声量で、番外個体は発言した。
番外個体「誰かさんに触れてもらったら〜? 異能だったら治るかもね〜」
一方通行「………チッ」
玄関扉が開き、すぐに閉まる。
遠ざかる足音と杖を突く音を聞きながら、黄泉川家は早朝を迎えた。
いつもの日常ならば、そこにいるはずの少年の姿。
彼がいないことで、いつもの日常は、崩されてしまった。