とある学園の死闘遊戯U
□第03話 明
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カエル顔の医者の病院。
その屋上にて、一方通行と土御門は空を見ていた。
眼前の空には、学園都市を横断する飛行船が飛んでいる。
先ほどまで天気予報や街の行事表などを映していた備え付けの液晶画面には、まるでハイジャックにでも遭ったかのように砂嵐が映し出されている。
一方通行「いよいよか……」
土御門元春「あぁ……」
時刻は昼。
おそらく、人体発火事件の被害者(ゲーム参加メールの受信者)は、場所が違えども全員が注目しているのだろう。
そう考えているうちに、一瞬で晴れた砂嵐に代わって、一人の青年が映し出された。
一方通行(ッ!! こ、この野郎は……!!?)
一方通行は青年を見知っていた。
昨日、この病院へ向かう途中に街中で見かけた、あの黄色い燕尾服の青年だった。
????『学園都市の皆様、はじめまして。訳あって名乗れませんので、我輩のことはご自由にお呼び下さい』
青年が話し始める。
土御門元春「名乗れない、か……。仮名として“スミス”と呼称するが、構わないな?」
一方通行「………勝手にしろ」
一方通行は青年の声に耳を傾ける。
スミス『この映像を見ている方々の中で、何人かの参加者にはメールを送らせていただきました。メールを受け取っていない方々には関係がありませんので、この映像は無視していただいても構いません』
この状況下で、無視できる人はいるのだろうか……。
学園都市中が注目する中、青年は気にせず説明を続けた。
スミス『現在の参加者は100人。そして、今から予選を行いますので、見事クリアーした者だけが、本選のゲームに出場できます』
一方通行「なンだと……。何を言ってやがる……」
土御門元春「どうやらスミスは、俺たちとゲームをして遊ぶ気らしいな」
今から予選が始まり、残ったの者だけで本選を行う。
青年は、そう言っているようだった。
スミス『メールを受信した方々。まずはメールを送ります。そこに書いてあることを、一時間以内にクリアーしてください。クリアーできた場合は我輩がメールを送ります。クリアーできなかった場合は……』
予選開始と共に、青年の姿が画面から消える。
それと同時に、液晶画面に一時間のカウントダウンが映し出された。
刻々と“残り00分”の表示を目指しながら、カウントダウンは刻まれていく。
現在“残り59分”。
病室の白井は、窓の外の飛行船から目を離し、横で眠る美琴を見た。
白井黒子「お姉様……。理解、できまして?」
御坂美琴「…………」
コクリ、と美琴は頷いた。
白井と美琴は、同時に自分の携帯を開くと、同時に受信されたメール文を読む。
白井黒子「“099番様。セブンスミストにて下着を購入すること”……。これが予選ですの?」
御坂美琴「…………」
美琴の携帯には、こう表示されていた。
〈名無し〉
≪予選開始≫
:013番様。
一回以上、能力を使ってください:
御坂美琴「…………」
美琴は、右手にバチバチと電気を発生させた。
その瞬間に、クリアーメールを受信した音が病室内に響く。
本選に出場することよりも、クリアーできなかった場合のことを考える方が、今の美琴は恐怖だった。