とある学園の死闘遊戯U
□第04話 本
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冥土帰し「やれやれ、まったく困ったものだよ……」
次々と運ばれてくる、先ほどまで患者だった者たち。
しかし、今の彼らは炎という悪魔に身を焼かれ、その命も燃え尽きてしまっている。
冥土帰し「学園都市が滅んでしまう。そんな冗談が現実になりそうな勢いだね……」
真剣な表情で、窓の外に広がる空を飛ぶ飛行船を見る。
液晶画面の青年は、まだ説明を続けていた。
スミス『予選100人中、本選出場者は21人。我輩の予想より、少し多いようですね』
一体、何人が焼死することを予想していたのだろう。
一方通行は液晶画面を睨みながら、携帯画面を開く。
スミス『参加者の皆様に、とある待受画像を送らせていただきました』
メールに添付されていた画像を再生する。
一方通行「………これは…」
一方通行には既視感があった。
その画像は、絵柄や数字をデザインで装飾した、一枚のトランプカードのようだった。
これを、知っている……。
一方通行「まさかあの事件と、何か関係があるってのか……!?」
昏倒事件で渡されていたPDA。
そこに映っていたスペードのエース。
一方通行の携帯画面には、それと同じようなものが映し出されている。
ダイヤのエース。
一方通行「偶然にしちゃ、出来すぎてやがるな……」
マークは違えども、再びエースを引き当てた一方通行。
飛行船の青年は、なおも語り続ける。
そしてそれは、一方通行が感じた既視感や偶然ではない確信を決定的なものとする言葉だった。
スミス『これから三日間、参加者の方々には学園都市内で殺し合いをしていただきます。ルールは簡単です。待受画像に記載されている課題を満たせばクリアーとなります』
昏倒事件と、重なりすぎて笑いが漏れる。
一方通行「……くゥ…はは、は。まァた始めようってのか……。あのくそったれで、派手に馬鹿げたゲームってヤツをッ!!」
液晶画面を叩き割りたい。
しかし、青年からの言葉を聞かないわけにもいかず、仕方なく一方通行は奥歯を噛みしめるだけに留まる。
スミス『課題は一日に一つずつ用意いたします。三日間、つまりは三つの課題をクリアーすることで、このゲームから解放されます』
そこで青年は、人差し指を立てて付け足した。
スミス『ただし、課題は出題された日の内にクリアーしなければなりません。その日の内にクリアーできなければ、その方は焼死してしまいますのでご注意ください』
さらっと、何でもないことのように青年は説明した。
スミス『それでは、参加者の皆様。三日間、頑張ってくださいませ』
そう言い残し、青年の姿は画面から消えた。
代わりに“残り21人”という表記と、日数を告げるカウントダウンが始まった。
一方通行「本選(ゲーム)は既に始まった、ってか……」
一方通行の携帯に送られてきたダイヤのエース。
一日目の課題は……