とある学園の死闘遊戯U

□第07話 二
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 電話の相手は、二週間前の昏倒事件の首謀者である魔術師。

 ソンシャンからであった。

上条当麻「ソンシャン!? お前、今イギリスにいるんじゃ……?」

ソンシャン『あぁ、今現在も監禁中ですよ。ただ……、学園都市に異様な胸騒ぎを感じましたので、特別に電話させていただいてます。もちろん、監視済みですけどね』

 ソンシャンの声色は明るく、上条と戦った時の殺気はなくなっていた。

上条当麻「そうか……。でも、ある意味お前の感は当たってるよ」

ソンシャン『………やはり、何かが?』

 上条は、ソンシャンに事の顛末を話した。

 なるべく分かりやすく、出来るだけ省略して。

ソンシャン『なるほど……。確かに、俺の作ったゲームと酷似している……』

上条当麻「可能性は薄いと思うから、魔術師の仕業じゃないって考えてる。お前はどう思う?」

ソンシャン『魔術師ではないでしょうね。しかし、俺の事件を詳しく知っていなければ、これほど一致するとは考えにくい……』

上条当麻「え……? それって、つまり……」

 ソンシャンは、上条の予想を肯定する。





ソンシャン『えぇ……。今回の事件の首謀者は、俺が引き起こした事件の真相を具体的に知っている者が絡んでいる。それは間違いないでしょう』





 上条は息をのむ。

 そう考えた場合、あの青年は誰かの使い走りなのだろうか。

ソンシャン『俺と同じ方法で事件を引き起こし、その軸を通っているのなら、もう一つ言えることがあります』

上条当麻「え? それは何だ?」

ソンシャン『首謀者の居場所です。事件を起こしてから、その首謀者は発動場所から動けなくなるはずです。あの時の、俺のように……』

 上条は考える。

 あの青年も、一定の場所(一か所の屋内)から動いていない。

 ならば、その場所に事件の首謀者も一緒にいる可能性があるのだと……。







 翌日、午前0時。

 カエル顔の医者の病院に泊まっていた一方通行たちは、上条の病室から飛行船を眺めていた。

 侵入禁止エリアのルーレットが回り、新たに侵入禁止となる学区を確かめるためだ。

上条当麻「もしも第七学区が入ってたら、急いで移動しないとな……」

白井黒子「その際は、わたくしがお助けいたしますわ。十分もあれば余裕ですの」

土御門元春「……決まったみたいだぜい」

 土御門の言葉に、全員が改めて飛行船に注目する。

 新たに決まったのは、第一学区・第三学区・第十五学区・第二十二学区だった。

一方通行「……第三学区と第十五学区は引き継ぎか……」

白井黒子「ですが、第一学区と第二十二学区が侵入禁止に……」

上条当麻「新しく禁止になった学区に、眠ってる参加者がいなけりゃいいが……」

 上条は、ソンシャンとの通話を思い出す。

 あの青年がいる場所に、この事件の首謀者もいるのならば。

 あの青年の情報を集めていくだけで、この事件は一気に解決に向かうのかもしれない。

 しかし……。

上条当麻(この事件の首謀者は、あの昏倒事件の具体的な真相を知っている者の可能性が高い……かぁ)

 一方通行も、上条と同じことを考えていた。

一方通行(一体、何処のどいつだ……。こンなくだらねェゲームを再発させやがったのは……)







 学園都市の某所。

 黄色い燕尾服を着た、土色の髪の青年がソファに座る。

????「主殿……、二日目が始まりました……。一日目の犠牲者は、85人……」

 予選にて亡くなった者たちも含めて、現在のゲーム生存者は15人。

????「…………」

 青年の顔には、何故か悲しみの色が伺えた。



 しかし、それを見る者は、誰も、いない。
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