とある短編の創作小説

□流行りの心理調査
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 いつものファミレスに集まり、アイテムの女子四人は各々で自由に暇潰ししていた。

 もちろん、その間のドリンクバー往復係は浜面仕上の役目だ。

浜面仕上「ほらよ、持ってきてやったぜ」

麦野沈利「遅い」

フレンダ「はいはぁい、ご苦労様ねー」

滝壺理后「…南南西から信号が来てる」

絹旗最愛「あ、浜面。ストローを超忘れてますよ。さっさと超取りに戻ってください」

浜面仕上「……へいへ〜い…」

 ストローを取りに再び往復。

 持ち帰ってくる頃、浜面を差し置いて四人の会話には花が咲き始める。

滝壺理后「…面白そう」

絹旗最愛「なら、超早速やってみますか」

浜面仕上「お? 何の話だ?」

麦野沈利「あー? 普通、女子の会話に混ざってくる?」

フレンダ「結局、そういうところがキモいんだよね〜。浜面は」

浜面仕上「お前らな……」

 しかし、そうは言ったものの麦野は少しだけ何かを考えた素振りを見せてニヤリと笑う。

麦野沈利「ねぇ、浜面」

浜面仕上「あん?」

 浜面が麦野へと視線を向けると、麦野は左手を開いて見せてくる。

麦野沈利「私の指、どれか一つだけ掴んでみなさい」

浜面仕上「は、ああッ!? な、何でだよ!? 一体、何…企んでんだ!?」

麦野沈利「いいから早くしろ」

浜面仕上「はい」

 ギロッと凄まれて浜面は従う。

 少しだけ迷ったものの、これ以上イライラさせるのも嫌だったので直感で選ぶ。

浜面仕上「じ、じゃあ…まぁ…親指、かな……?」

 そして浜面は、ギュッと麦野の左手から親指を選んで掴んだ。

 すると麦野は、ニヤ〜ッ、とした笑みを浮かべた。

麦野沈利「…ふぅ〜ん。まぁ…悪くない答えね」

浜面仕上「な、何だよ……」

フレンダ「浜面浜面! 私は!?」

 そしてフレンダも、続けて浜面へと左手を見せた。

 ここまで来て浜面は、ようやく麦野たちの話題を察する。

浜面仕上(あぁ〜…、最近流行りだした“心理調査”ってヤツか…)

 よく知られる言葉で言い換えるなら、ただの“心理テスト”である。

 話題が分かったところで、この心理テストが意味する答えを浜面は知らないのだが。

浜面仕上「あー…、フレンダはこれだろ…」

 そういって浜面は、フレンダの小指をギュッと握った。

 瞬間……。

フレンダ「うなーーーッ!! 結局、浜面のくせに生意気だ、って訳よーーーッ!!」

浜面仕上「どわぁああ!! 何いきなりキレてんだよ、お前ッ!!」

 ギャーギャー騒ぐ二人に割り込むように、麦野の携帯が鳴り始める。

麦野沈利「はーいはい、お仕事よ。浜面ぁ、レジへGO!」

浜面仕上「はいよ。先に車に乗っててくれ」

フレンダ「ふん! そうさせてもらうわよッ。プンプンッ」

滝壺理后「大丈夫だよ。はまづらからそんな風に思われてるフレンダを私は応援してる」

浜面仕上(一体、小指はどんな答えだったんだよ……)

 皆がファミレスを出て行く中、浜面だけはレジに向かう。

 会計をしようとした矢先、不意にパーカーを引っ張られた。

絹旗最愛「浜面」

浜面仕上「ん? あぁ、絹旗か。どうした?」

 先に車に行ってたんじゃなかったのか? という前に浜面の言葉は飲み込まれた。

 絹旗は浜面に向けて、自分の左手を差し出していた。

絹旗最愛「私のは、超どんな感じですか……?」

浜面仕上(…うっわぁ……、次は絹旗か…)

 先の反応からして、親指は麦野にとっての正解で、小指はフレンダにとっての不正解。

 心理テストなのだからアレコレと考えてはダメなのだが、やっぱり地雷は踏みたくない。

浜面仕上(考える時間って作っちゃマズイよな…。やっぱ、ここも直直感か…)

 少しだけ悩んでしまったが、それでも早い方だろう。

 浜面は、ギュッと絹旗の薬指を握った。

絹旗最愛「……ぁ」

浜面仕上「お前はこんなところだろ。どんな心理結果か知らねぇけど、俺じゃ詳しくねぇし、文句言うなよ」

絹旗最愛「え…ぁ……、はい…」

浜面仕上(………やけに素直だと…、逆に怖ぇな……)







 左手を差し出して、好きな指を握らせる。

 この心理調査(心理テスト)では、握った人が握られた人のことをどんな風に思っているのかが分かります。



 親指……憧れ、尊敬、高嶺の花。

 人差し指……仲間、同士、友達、親友。

 中指……嫌い、何とも思っていない。

 薬指……理想、大好き、気になる。

 小指……下等、目下、自分の手足。



 あくまでも捉え方は人それぞれです。

 是非、お試しあれ。
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