とある禁書の二次創作
□中華が食べたい
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学園都市の路地裏。
深夜の時間帯を示す時計の秒針が、カチコチと音を響かせる。
といっても、腕時計なのだからそれほど大きな音でもない。
「掃除完了っと。おつかれさん♪」
積み上がった死体。
その傍らに立つ四人のうちの一人。土御門元春が仕事の終わりを告げる。
「皆さん、おつかれさまです」
「やれやれ・・・。やっと終わったわね・・・」
土御門の言葉に、海原光貴、結標淡希が続いた。
「・・・・・・・・・」
しかし、もう一人には続かなかった。
学園都市最強の超能力者、一方通行である。
「どうした一方通行。具合でも悪いのかにゃー?」
「ガキ扱いしてンじゃねェよ。・・・なンでもねェ・・・」
その返答とは裏腹に、あまり元気はないようだ。
「本当に大丈夫ですか? 顔色が優れませんよ?」
「なンでもねェっつーの。・・・・・・ただ、腹が減っただけだ」
その言葉は、時に引き金となる。
“グゥ〜〜ッ”
ほら。誰かの腹の虫が鳴きましたよ。
「・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・///」
分かりやすいですね、結標ちゃん。
「うるっさいわねッ!!!」
「うぉっ!? どうした結標!?」
「なんでもないわよッ!」
土御門と結標が会話(?)している一方、海原が一方通行に提案する。
「それでは、今回は時間も早いほうですし、グループで夕食でも食べに行きませんか?」
「あン?」
その提案に食いついたのは、
「賛成だにゃー! すぐに行こうぜい!」
一方通行ではなく、土御門だった。
――本日閉店――
「窓叩き割ってイイか?」
「八つ当たりはやめときなさい」
これで八件目。
さすがに閉店してしまった店ばかりである。
「どうします? もう屋台で済ませますか?」
「妥協するにはショボ過ぎるぜい・・・」
ラーメン屋台を探すにしても、そう簡単に見つかるとも思えない。
「別にイインじゃねェの? 塩ラーメンでも食えりゃァなンでもイイわ・・・、もォ」
「は? 何言ってんのよ。ラーメンと言ったら豚骨でしょ」
「いえ、自分は醤油が一番かと」
「おいおい、王道の味噌を忘れてんじゃねぇぜよ」
四人が顔を見合わせる。
今にも火花が散り始めるかと思いきや、
「・・・・・・くっだらねェ・・・」
「・・・やめましょう・・・」
「同感です・・・・・・」
「腹減ったにゃー〜・・・・・・」
各々の空腹に限界が近付いていた。
――プルルルル プルルルル
「あン?」
その時、一方通行の携帯に着信である。
「もしもし?」
(((一方通行が“もしもし”!?)))
三人は吹き出しそうになるのを堪え、一方通行から顔を逸らす。
「・・・あァン!? ・・・・・・おゥ、・・・おォ、・・・・・・・・・分かった」
通話が終わると、一方通行は三人に向き直り、こう告げた。
「今から、俺ン家くるか?」
「「「はい??」」」
突然のお宅訪問。何故に?
「黄泉川のヤツが炊飯器で中華料理作りやがったらしい。あまりに美味そうな出来栄えだから食べに来いだとよ」
「炊飯器で・・・」
「中華料理・・・」
「・・・・・・(えっ? あたし炊飯器に負けた?)」
携帯をもう一度操作していたらしい一方通行が、再び三人に問いかけた。
「ンで、どォすンだ? テメェら」
一方通行の背後に黒いキャンピングカーが停止し、ドアが開く。
“四人”を乗せたキャンピングカーは、黄泉川家のマンションへ向かった