とある禁書の二次創作
□とある海賊の航海日誌【読切版】
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“シャワースキル”。
それは、大海原に宿る神秘の力。
この世には、稀にその力を持ってして生まれた人間が存在した。
上条当麻という少年も、その力を持って生まれた人間の一人だ。
そして、彼には夢がある。
“海賊”になって、いずれ“大海賊王”にまで上り詰めること。
実際、シャワースキルの能力者が海賊になることは珍しくはなく、逆に言えば海賊にはシャワースキルの能力者の方が多い。
力を持っている以上、彼も海賊になる夢を見ながら海に出た。
まだ小船しか持っていないが、きっと海賊船や仲間たちに恵まれ、立派な海賊になれるだろう。
しかし、彼の能力が原因で、その夢は儚く崩れ去る……。
彼は現在、木片を抱える形で海を漂い、遭難している。
上条当麻「……不幸だ………」
彼の能力は“幻想殺し(イマジンブレイカー)”。
他者の能力を右手で触れただけで打ち消す能力だが、その範囲は“異能”ならば例外がない。
故に、その右手が空気に触れているだけで、神様の御加護まで打ち消してしまう。
生まれた瞬間から超不幸体質の人間なのだ。
上条当麻「だ……、誰か〜……。助けてくれ〜……」
霧の出てきた海のド真ん中。
島どころか、数メートル先も見えない。
しかし、そんな彼にも奇跡が起こった。
上条当麻「ーーーッ!!!」
前方に、うっすらと船のシルエットが見えてきたのだ。
上条当麻「お、おーーーーいッ!!!! た、助けてくれーーーーッ!!!!」
船が近づき、引き上げられる。
助かったと思ったが、同時に疑問が浮かぶ。
上条当麻(随分とデカい船だな……。海軍船だったか……?)
ちなみに“海軍”とは海賊を捕まえる海の警察部隊のようなものである。
上条当麻(まぁいいや。海賊を名乗らなければ良いんだし……)
しかし、上条が乗り込んだのは海軍船ではない。
その船の帆には、デカデカとドクロが掲げられていた。